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buhitterに対する誤報やデマによって煽られたパニックとは

本稿では2018年7月末から8月初頭に起きたbuhitter.comをめぐる誤報やデマについて記録する(2018.08.05 記載)
前稿:『buhitterは無断転載? 有料二次創作? 違法サイトなの?



誤報の内容


本件はいわゆる『ネット炎上』と呼ばれる現象に分類されるが、大きく分類すると「事実による炎上」ではなく「デマや誤報による炎上」というものになる。当初、Twitterで拡散が始まったときbuhitterに関して出回った情報の多くは事実を誤認したものであった。その内容は以下である。

(1) buhitterは無断転載(違法アップロード)サイトである
(2) 違法アップロードによる収益化は不当である


大きくはこのふたつである。
まず(1)の認識が誤りであったことが不幸の始まりである。buhitterはTwitter社の利用規約によって認められている『API機能』を用いた正規の外部サービスである。こういったサービスは他にも多々現存しており、Togetterなどもそれに分類される。その他、Tweenなどのクライアントアプリケーションも同様である。

次に(2)であるが、前提となる(1)が誤りである以上(2)は成立しない。違法性のあるサービスが収益を得ることは不当だが、buhitterは合法で適正なサービスであるため、そのサービスの提供によって収益を得ることは正当である。また「正当なサービスであっても収益化されることには抵抗がある」という声もあったが、「イラストを表示することで広告収入を得るサイト」は他にもpixivなど大半のサービスが同様である。またTwitterそのものもサービスの提供による広告収入を得ている。そして、これらサービスは第三者による外部への表示を許可しているため、利用にあたり外部表示を事前に防ぐには非公開アカウント(いわゆる鍵アカウント)にするなどして対策をしておく必要がある。

他にも細かい誤報としては以下のものがあった。

(3)二次創作を収益化されると違法性が生じる
(4)その責任を製作者が負うことになる


まず(3)においては、仮に制作した二次創作やファンアートが司法から違法との判断が下されるのであれば、そこに「有償か/無償か」の判断基準はない。著作権法において「有償なので有罪」「無償なので無罪」という事実はない。民事において被害額の請求がなされる際に金銭に関することが基準とされる場合はあるが、それは半ば判決が決定した後のことである。有罪か無罪かの判断に影響することはない。被害額が大きいと原作者や出版社に目を付けられるという話もあるが下段に後述する。また上述したように二次創作やファンアートはpixivやTwitterにも多々存在しており、それらサイトは現在も運営により合法的に収益化されている。

次に(4)であるが、これも前提となる(3)が誤りである以上は成立しない。そして、仮に自分以外の責任において原作者や出版社から被害の責任を問われても、それについては「自分も被害者である」という主張が最もである。二次創作やファンアートが法的にグレーな立ち位置であるというのは議論があるところだが、原作者(一次著作権者)に無断であれ「新しく創作した」という事実がある以上は、そこにも権利が発生する。そこで新たに発生した権利について主張することに法的な矛盾はない。(ただし現状において感情的に許容されない面も多分にあるだろう)。赤松健氏は同人マークを創るにあたり「二次創作やファンアートは海賊版やデッドコピーとは違う」と唱えている。二次創作やファンアートは(二次的ではあるが)新たな創作であり、コピーされた明確に違法なものとは異なるという主旨である。



デマの内容


Twitterで誤報が拡散されたことでそれに乗じるデマが流布し始める。それに扇動された人々が半ばパニックとなり、buhitterに対して攻撃的な態度をより強めていくことになる。誤報は誤認や誤解など事実を正確に掴めていないことが問題だが、デマはさらに事実ではない情報を意図的に含ませていることが問題となる。根本は同じく事実確認をしない点にあるが、より悪質とみていいだろう。

(5)メールアドレスや個人情報を悪用される
(6)イラストを自動収集されて利用される


まず(5)に関しては、buhitterの運営者は「削除要請に応じる」としたうえでメールフォームを機能させていたため、そこで個人情報(メールアドレス)が盗まれるのではないか、と危惧する声が多くあった。実際にこれはWEBサービスを使ううえで警戒しておくべきことだろう。注意喚起にも「普段は使わないメールアドレスで送るように」という文言が見られた。ただ、のちにbuhitterの運営者はメールアドレスが必要のない削除依頼の投稿フォームを作成した。
メールアドレスを「悪用されるかもしれない」は注意喚起に留まるが、「悪徳業者と繋がりがある」「ウィルスやスパムメールを送り付けてくる」といったことは少なくとも現時点でbuhitterに関してその事実は認められていない。そうであるにも関わらず、buhitterへの攻撃的な材料として利用し、結果として人々の恐怖を煽ってしまったアカウントが散見された。これは後述する違法アップロードサイト『漫画村』のときにも見られた現象である。

次に(6)に関しては、buhitterはTwitterにアップロードされた情報を『反映』しているだけである。つまりbuhitterの表示は、Twitterにアップロードされた情報に紐付けされており、元の投稿が消えればbuhitterの表示も消えるという仕組みである。このことから理解できるようにbuhitterそのものは情報をアップロードしておらず、投稿された既存の情報をサイト内に表示しているにすぎない。buhitterは画像を一度ローカルに保存し、再アップロードする必要性を持たず、またその事実も確認できていない。だが、そういった仕組みを理解せずに「違法アップロード」や「第三者による商利用」として事実無根のままドメイン会社に通報を推奨するアカウントも登場した。そのためか実際にbuhitter.comは一時的にアクセスできない状態になっている(2018.08.04-05現在)。


虚偽の通報は犯罪であるほか、個人への事実に基づかない批判は名誉棄損ともなる。サイト運営を妨害したと見なされれば営業妨害となる恐れもある。軽率に行うべき行為ではない。
Twitterやpixivでオープンに投稿しているのならば、無断で利用される危機は何もbuhitterに限った話ではない。pixivに投稿されたイラストが第三者の手によって無断でグッズ製作に利用され、Amazonなどで販売されている実態がある。今回の騒動がいち早く炎上に繋がったのも、背景にそういった前例が多く存在したことがあるだろう。次の項ではそれを参照したい。

またデマや誤報を鵜呑みにしてまとめてニュースとして配信しているサイトも多くみられた。現在では記事が削除されているサイトもあるが、「無断転載」などの文言がそのまま掲載され続けているサイトもある。資料としてURLだけは貼っておく。
https://matomame.jp/user/bohetiku/535a21d4d786b75b2b10
https://nekokick3.com/wordpress/2018/08/02/buhitter/
https://brandnew-s.com/2018/08/02/buhitter/
https://matomedane.jp/page/12093



なぜbuhitterの炎上は加速したか


おそらく世間にはすでに「違法アップロードサイトは悪質なものである」という認識が少なからずあったのだろう。これ自体は自浄作用として悪いことではない。悪質なサイトや業者の利用を下げて、正当な権利者が受ける利益を増やす。近々では違法アップロードサイト『漫画村』のブロッキング導入騒動やナカジマ氏のまとめブログ訴訟などの話題があり、違法アップロードサイトへの風当たりが強まっていた。結果として事実誤認ではあったが、buhitterに対しても悪質なまとめサイトへの「またか」という思いが少なからずあったのではないだろうか。

それと同時にそういったサイトへの削除要請や料金請求、明確な違法行為があるサイトへの通報などが常套手段としてテンプレート化されていた。そういった「悪質なサイトへの憎悪」と「攻撃手段の常套化」が今回の騒動が加速をみせた背景にあったのではないかと推察される。しかし実際のところ誤報やデマによる「決めつけ」であるところが多く、問題に対して「一度冷静になって事実を確認をする」という部分が疎かになっていた。この点はまさしく「パニック状態あった」と言っていいだろう。



デマの何が危険か


デマが広まる根本には「恐怖心」がある。恐怖心を煽られるとパニック状態になり冷静な判断が難しくなる。事実が確認できていなくとも「悪質な業者と繋がりがある」「ウィルスやスパムが送られる」「違法アップロードサイトだ」「あなたの作品が無断で利用される」いった文を見れば「危険だ」と感じてしまい、危険を排除しようとする心理がbuhitterへの攻撃的な態度を加速させていく。

日常的に起きるこういった現象は意図されたものではなく、デマを広めた本人も「善意」であることが多い。もちろん善意だから間違いや事実無根な批判が正当化されることは決してない。さらに言ってしまえばデマを広めた本人も扇動された人々も「悪いことをやった」と自覚することも認めることも難しいのが実際である。その後の顛末は泥沼なので書くに値しないが……。

デマや誤報を流すことはメディアでも個人でも信用を落としてしまうことだが、そのあとで間違いに気づいて訂正や謝罪を行うことはリスクではない。かえってそのことで信用が高まるとも判断できる。なにせデマを放置したり、訂正や謝罪もせずに開き直ったり延々と言い訳をする人間があまりにも多いのだから。信用を失ったままのケースのほうが圧倒的に多いのである。

デマの危険とはそういった「信用のない情報ソースを流し、訂正しない人間が身近にいる」ということが何よりである。そしてデマに扇動されて誤りを認められない人間も同様である。いつかまた同じことを繰り返すかもしれない。それにまた自分が巻き込まれるかもしれない。「自分はデマなんかに踊らされない」とは決して思わない。だからこそ危険からは身を遠ざけておくことが必要になる。デマを流すのは「人間」なのである。

今回はイラストの無断転載に関する問題だったが、デマの流布は災害などの非常時にも容易に起りうる。今回のことでデマに踊らされてしまった人は自他を振り返ってみるのもいいだろう。流言をもとにbuhitterを「危険なサイトだ」と信じ込むそばで、ソースにしているのがURLを上記した誤報がそのままのニュースサイトなのではリテラシーがおぼつかない。



結果としてbuhitterは今どこにあるのか?


インターネット上のドメインの話ではなく、人々の意識の中で。

buhitterはこれからもしばらくは「無断転載サイト」として悪評を残し続けるだろう。誤報を訂正しない人々によって、誤報に踊らされたことを認められない人々が多い中で。「勝手に絵が使われている」「金儲けに使われる」などなど特に根拠を必要としない感情論が溢れることだろう。サービスの利用規約を読まない人々から「なんでこっちが手間をかけて削除要請しなければならないのか」と怒られることだろう。

まったく気の毒である。P2PシステムのWinnyが著作権侵害の責任を問われて刑事事件として無罪になったように。



参考資料


・ウェブ炎上(荻上チキ)
・うわさと誤報の社会心理(廣井 修)
・リスクにあなたは騙される(ダン・ガードナー)

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