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”芳文社や小学館などの二次創作禁止(?)ガイドラインの真相について、出版社の中の人が解説してくれました。”について

http://togetter.com/li/399927
上記のリンクから読める各出版社の著作権についての規定や二次創作(ファン活動)への認識について、私は明確だとは思えない。

そもそも日本の出版の慣習では、作品の著作権は作家に帰属することが多い。つまり出版社は各作品の著作権をコントロールする権限を持っていない。にも関わらず、サイト上に「無断使用は禁止です」という文章を掲載している。まずこのこと自体が越権行為だとも指摘できる。作家の持つ権利を頭越しに行使しているといっても過言ではない。もちろん多くの作家がこの「無断使用は禁止」という意見に同意しているだろうし、そこに異議を唱えることもないだろうが、権利を主張する態様としては問題があるように思える。仮にこれで裁判になって「当社のWEBサイト上には”無断使用禁止”である旨が予め記されている」と主張したとしても、そもそも出版社にそれを主張する権利が無いのであれば、表明自体が無効と扱われても疑問は無い。むしろ自然であるといえる。(その前に無表明でも無断利用は原則禁止なのだが…)。このことに関して作家と出版社の間において、事前に「雑誌に作品を掲載するにあたって、こういった表明に同意してもらう」といった契約を交わしていれば有効だといえるだろう。しかしその手続き無しに出版社が一方的に権利を主張しても、その根拠は薄い。

しかし、出版社も全く権利を持たないのであれば、作家の著作物を出版することもできないはずである。ゆえに実際には出版社は作家から権利を一部委託されている状態にあると言える。出版社が作家から与えられている(許諾されている)権利は「出版権」と呼ばれるものであるが、実際には「複製権」などいくつかの権利を許諾するものの総称として「出版権(あるいは古い言葉で”版権”)」と呼ばれるものがある。
出版社は作家から、これらの権利において「許諾」あるいは「委託」を受けている状態にある。作家と出版社の間において、それが正式な文書で示されていなくても、口頭での契約や出版業界の慣習(商慣習)として認められる(あるいは両者間において黙認される)のであれば有効とされる。
著作権の管理を委託されている状態、その活動は音楽業界の「JASRAC」を代表に見て取れる。利用者からは嫌われがちなJASRACであるが、それはここでは伏せておこう。JASRACがなぜ音楽作品の著作権侵害を指摘することができるのか、それはアーティストやアーティストの所属事務所から著作権管理のために、一定の権利に関する行使を認められているからだ。この態様を認めるのであれば、出版社も出版権を作家から認めれているという事実に基づき、その中に含まれる権利のいくつかにおいて、これを管理する権利を有すると考えられる。実際に出版権とはそういった「差し止め」などの権利も有する。さらに作品の著作権は作家に帰属するが、出版物について発行者としての権利は出版社が有するところであろう。(編集著作が認められる場合などにおいて)
このことから導かれる結論は何か。それは出版社も作家から許諾・委託された権利(出版権)に関しては主張することができるという事実と、自社が発行した出版物に関しては明確に権利を主張できるということである。以上のことから出版社が発行した「出版物」についての規約を設けることに疑問は無く、正当な権利であると考える。ただし、その内容である「著作物」については、個別に作家との間に事前に契約を設けるなどして権利の態様を明確にしておくことが求められる。これ無しに出版社が誌面や公式WEBサイト上において著作権に関する規定を表明する行為は、権利の構造上は正当性に欠けると指摘できる。

ただし実際に裁判などに当たっては出版社が(事後であっても)作家との間に了承をとることが当然とされている点も考慮されてしかるべきである。だが事前に示される「無断利用禁止」の表明も権利の行使である以上は、その根拠を明確にしておくことも権利を行使・主張するうえで必要とされる義務ではないだろうか。この点が繰り返し指摘できる。
その上で出版社は「当社発行の出版物について」と、明記することが有効なのではないかと考える。上述したとおり自社で刊行された出版物に関しては出版社へ帰属する権利が多く、著作権に関しても作家から権利の許諾・委託を受けている状態であるため正当なものだといえる。
このことで重要な点は出版物の内容である「無体物」の「著作物」については規定の範囲外とすることができる点である。例えば、出版された出版物をインターネットや同人誌即売会などにおいて、複製・頒布・販売する行為は規定違反とすることができるが、出版物に含まれた「無体物」である作品に内包されるイメージやストーリーに基づいて新たに創作された作品(ファンアート・二次創作など)については、出版社が「出版した」ものではため、これを規定の対象外とすることができる。加えるならば事前に了承を得て、作家本人(あるいはアニメ会社など公的な機関)が作成したものを規定の対象とすることで、ファンアート・二次創作は対象外にできることも考えられる。

これにより発生する問題は二次創作物を集めた海賊版の「非公式なアンソロジーコミック」などが一般流通を用いて販売される可能性である。こういった違法性の高い出版物が他の出版社から刊行されることは常に懸念される。しかしこれについても、こういった対象を予め一般的なファンアートや二次創作活動と分類し、商業目的の利用であると指定しておくことで規制できるとも考えられる。その方法については様々であるが、「営利性の高いもの」や「頒布ではなく販売を目的としたもの」といったように指定すれば規制の対象とすることができる。こういった規定は、クリプトン・フーチャー・メディア株式会社の「ピアプロライセンス」にも見て取れる。(3Dデータをネットでデータ販売しようとした行為が「在庫を有限とした必要な印刷代などのコストを回収するための行為に当たらず”頒布”とは認められない」として利用規約に反するとされた)。
企業や作品へのイメージの汚染などについては、不正競争防止法を基に規定を定めることもできる。公式ロゴマークの流用、あるいは著しく類似した作品のタイトルなどで消費者への誤った購入を促すものは、企業としてこれを規制できる。利用者への注意点としては出版社がこれらを明示しない以上、利用者自身がこれらを積極的に学び、二次創作において立ち回る必要が求められている。著作権においても同様で、それが現状であるといえる。

「著名表示冒用行為(第2号):他人の著名な商品等表示と同一または類似のものを自己の商品等表示として使用する行為。ただ乗り(フリーライド)、希釈化(ダイリューション)、汚染(ポリューション)がある」
(引用_Wikipedia - 不正競争防止法



出版社の表明について「無断使用は禁止」とだけ書かれていれば、ファンアートや二次創作であっても禁止と考えるのが通常である。通常の人間が初見でこれを「被害が大きい場合を除いて訴えませんよ」ということの暗示と捉えるのは無理がある。実際に「コミックマーケット」の創設から日本の二次創作においては、こういった「グレーゾーン」という考え方が普及しているが、それが機能していたのはインターネット普及前の小さく緩やかなコミュニティに対してであり、今現在の拡大した俊敏なネットワークにおいては機能不全を起こしていると考える。
近代においてインターネットを介したファン同士の交流は通常に行われる行為であり、これを規制することは無理がある。一般の認識においてファンアートは既にあって然るべきものとなっている。ファン同士の交流の入り口や終結として「コミックマーケット」のような場が機能したのなら、そこに共有される「グレーゾーン」という認識はファン同士の交流で広められる。だが現在のネットワークにおいては入り口も終結もインターネット上のインフラだけで「ファン活動・人集め・作品発表・交流」などが完結する。この場合にはコミックマーケットのような「グレーゾーン」を共有する場に辿り着くことなく、「グレーゾーン」という文脈に触れないままユーザーが成長を遂げる可能性もある。そして実際にそれは増えているように感じられる。

こういった現状において企業側に「白黒つけろ」ということを求める気はない。日本の法律(2012年現在)がそれに適した作りになっていないことも考慮できる。だが公式WEBサイト上に規定を示すにしても、冒頭に記したような根拠の薄い「無断使用禁止」という注意書きだけでは説得力が欠ける上に、二次創作の抜け道を探す”含み”もない文章である。
一定の二次創作やファンアートは規制しないというのであれば、規制の対象とならない二次創作やファンアートを定義することから始め、悪質な海賊版などと区別することで許容される範囲をある程度まで示してもよいのではないか。ただ、そのことへのリスクや発生するコストに対処するより、現状の「親告罪」を上手く活用する方が効率はいいのだろうが、それならば「無断使用禁止」などという表明をすることもそもそも必要無いのではないか。
今の日本の著作権法(ベルヌ条約規定)であれば、コピーライト(C)の表記が無くても原則として無断使用は禁止である。この点で指摘されるのは企業よりも利用者側にこういった認識が無いために、無断使用に際して「だったら予め無断使用禁止と書いておけ」といった珍妙な指摘が出される点にある。これに対してある程度の警告文が必要なことは理解できる。だが今の出版社に見られる規定文は古いものが多いように見受けられる。

例えば「無断使用禁止」と書かれた場合にはコンテンツのローカル保存(自分のパソコンなどに保存して私的使用する行為)も禁止なのか、といった疑問が利用者に浮かぶこともあるだろう。原則として「私的使用のための複製」は法律で利用者に認められる正当な権利である。つまり「無断利用禁止」と書かれていても自分の家庭内において保存してPCの壁紙に使ったり、印刷して自分の部屋に貼ったりする行為は認められる。
ただしこれらで利用者が勘違いしがちなのは「私的使用」の範囲を誤って捉えることである。例えばローカル保存したアニメの画像を自分のTwitterやSNSのアイコンに使用することは「私的使用」なのか?答えは「NO」。これは私的使用には含まれない。「自分」が使用しているのに何故なのか?
著作権法には「公衆送信権」という権利が含まれており、インターネットなどで「著作物を公開するか・しないか」といったことも権利者が独占的に決めることができることになっている。つまり権利者が意図してアップロードした場所以外に、権利者以外の人間が無許諾で画像などの著作物(データ)をアップロードする行為は、権利者権限の範囲外であり「違法アップロード」に定義されるのである。インターネット上などは多くの人が閲覧できる(ネットであるなら複製して保存もできる)ために、これを私的使用とは認められないものとされる。これは家庭内など法的に許容される範囲を除き、企業ネットワークなどのインタラネット上であっても同様である。

また物質社会においては「物を買った」ということで、自分が所有するものは全て自分に権利があると思う人もいるが、その限りではない。本を買えば「所有権」は得られるが、本の内容である「著作権」は作者のものである。ゆえに本を買ったからといって、その内容を複製して頒布・販売する行為は違法となる。この辺りも「私的使用」と同じく、利用者側が勘違いを起こしやすいところであるため注意が必要である。
このことはパソコンのソフトウェアに例えると解りやすい。私たちはAdobeなどのメーカーからソフトウェアを使用するためのライセンスを購入する。だが、与えられているのはソフトウェアの「使用権」だけであって、利用者がソフトウェアを配布したり販売することはできない。本やCD/DVDなども同じ理屈となる。(所有権における譲渡や中古販売を除く)。



私は株式会社スクウェア・エニックスの「著作権について」の記述がよくできていると思っている。ゲーム会社は自身がコンテンツホルダー(権利者)であるのと、出版物とゲーム(プログラム)は著作権法上の扱いも異なるため、出版物を刊行する出版社とは都合が異なるかもしれないが、参考になる部分があると考える。
(参照_株式会社スクウェア・エニックス「著作権について」

①規定の対象となるコンテンツを指定する
例:「当社が運営するWEBサイト上のコンテンツ」「当社が刊行する出版物(内容である著作物においては著作者の権限による)」「当社が公式に販売するグッズ・その他」など。

②どのような行為を禁止するのかを指定する
例:無許諾での「私的使用ではない複製行為」「インターネット上にアップロードする行為」「公正利用に含まれない行為」など

③例外となる行為を指定する
例:「私的使用のための複製」「法的に認められる公正利用」「当社商業活動への影響がないファン同士の交流を目的とした非営利での小規模な範囲での利用」など

これでも明確に二次創作が許諾されているとは言い難い(③の一部を除き)が、それでも単純に「無断利用禁止」と書かれただけのものよりも柔軟に捉えようがある。
(1)で規定の対象を「当社刊行の出版物」とすれば、ファンが自分で作った二次創作は対象外だともいえる。「当社WEBサイト上のコンテンツ」を指定すればWEBさいと上のコンテンツの直接的な流用や違法アップロードは禁止でも、ファンが作った二次創作は禁止にはならないとも考えられる。グッズも同様である。
続いて(2)では(1)を対象にした禁止事項を定める。だがこれも前述したように、そもそも(1)で指定されたものでなければ禁止の対象とはならないと考えられる。(企業の意志を二次創作に対して善意的に捉えるならば)。(追記:この項目は椎名高志先生の ”「二次利用」と「二次創作」を混同してるんじゃない?” という一言で片付く)。
そして最後に(3)であるが、ここが一番難しいところだろう。とりあえず法的に認められる利用者側の権利として「私的使用」「公正利用」の2つは保証しておく必要がある。(そもそも「無断利用禁止」も「私的使用」も「公正利用」も書かなくても法的には認められるということは置いておいて…)。米国のフェアユースを基に「商業への影響が少ない範囲での利用」という部分を書いたが、これは正直に言って幅が広すぎて危ういだろう。ここまで認める必要はないかもしれない。(これを認めると「二次利用」も一定範囲承認されてしまうため、二次創作と無断転載のような差異も生じなくなる)。

いずれにしても単純に「無断利用禁止」だけでは芸が無い。もう少し”含み”のある文章があってもいいだろう。その上で法的な根拠があれば違法性の高い行為には訴えを起こすことができるだろうし、規定はあくまで規定でしかなく、親告罪であれば権利者の意志で裁断を下すこともできるわけだから、”含み”の部分をグレーゾーンにしてもいいのではないかと考える。ただ単に「無断利用禁止」と書かれたものにグレーゾーンとしての”含み”があるというのは少し古い。
こういったことで生まれるリスクもあるし、私の知識や経験では考えもつかない問題も多々あることだろう。ただファン活動・ファンアート・二次創作といったものが、インターネットというインフラを通して、コミックマーケットなど限られた場所で行われていた活動から、より広く公的なものとしてファン活動が機能し始めた近代において、企業側も姿勢を改める時期にすでに入っているだろう。そもそもこんな規約文書など気にしている人間も少ないだろう。公式に「禁止」と書かれていようが無断利用する、法律で違法になっていても気にもせずに無断利用する。企業の対応とともに利用者側のこういった姿勢が改められることも必要だろう。

今はインターネットも進化の途中にすぎない。デジタルネイティブな世代が生まれていると同時に、インターネットがなかった時代を過ごした人達もまだたくさんいる。その中で知的財産など無体物に関する権利の知識や意識が低い人が大半を占めるのも道理だろう。こういった問題はこれからきっと長い時間をかけて変わっていくに違いない。できることなら世界が変わっていくのをただ傍観しているだけではなく、企業や利用者が自らそれに関わり知識や経験をもって少しずつ良い方向に変えていければと願う。
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