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「歌ってみた」と「トレパク」の違い

「歌ってみた」というものは、主にニコニコ動画から発生したとされる、いわゆる「カラオケ」のことである。この歌ってみたに関して「楽曲の無断利用ではないか」という疑問が浮かぶ。だがニコニコ動画はコミュニティ内に限り、JASRACと「包括契約」を結んでおり、大まかに説明すると「既存の曲(楽譜・メロディー・歌詞)であっても、自作の音源・演奏であれば、これをニコニコ動画内において許容する」という契約になる。
さらに「歌ってみた」の発生文化としては原作へのリスペクトの念が強く、特に出典・出自において、これを偽り「独自の創作である」というように偽ることはみられない。あくまでも「元ネタ」が解ることが鑑賞者に伝わることが必要とされる。(「歌ってみた」を「独自の創作である」と発表することは、「盗用・剽窃・パクリ」に近いものになると考えられる)
この他に市場にある「カラオケボックス」もJASRACなどに利用料をマージン(報酬)として支払っており、法的にこれが認められている以上は、違反がない限りは適法(合法)である。ニコニコ動画においても、コミュニティ内では包括契約の保護範囲内であるため、これに違反しない限りは適法であるため、違法性のある行為だとはいえない。

これに対して漫画などの「トレパク(単純なトレス・模写ではなく、パクリ要素が含まれる行為)」は、基となる作品がありながら、その出典を明らかにせず「独自の創作である」と鑑賞者に誤解させることが問題とされる。あるいは意図的にパクリであることを隠し、他からの流用であることを自身の実力であるように鑑賞者を偽る傾向にあり、そこに原典へのリスペクトは見て取れない。
「トレパク」で問題とされる行為の多くは、他者の著作物を利用することで自身の実力を詐称したり、一次著作権者(原作者)の利益を阻む可能性を作ることに挙げられる。

また上述した「歌ってみた」と異なり、これらの行為は法や契約による包括範囲になく、盗用・剽窃・パクリ行為が法や契約によって公的に保護されているという事実はない。
今では世間に広く認識されている二次創作やパロディにおいても、これを明確に保護する法律は日本にはない。ただし著作権侵害が「親告罪(権利者が訴えを起こすまでは犯罪としては起訴されれない罪)」である以上は、提訴されるか否かの最終的な判断は権利者に委ねられている。日本ではここに発生する「グレーゾーン」をもって二次創作やパロディの活動の基盤としている風潮がある。
著作権者が「親告罪」を使って訴えを起こすか否かは、上述したような「著作物が無断で使われている」という事実に対して、「利益(売り上げ・作品へのイメージ・著作権者の人格など)が”大きく”損なわれている」と判断できた場合に起こされることが多い。この”大きく”が意味するところは、「裁判費用<損害賠償・示談金」であると推測される。しかしときにはこれらの利益を無視しても「名誉」や「人格」のために奮闘する事例もみられる。

実際にあった判例としては「サザエさん事件」「ドラえもん最終話同人誌問題」「ポケモン事件」など様々である。現行の同人文化(二次創作)は、過去のこういった事例を参考に違反となる「ボーダーライン」を独自に見定め、慎重に活動することで、「親告罪」のグレーゾーンを渡り歩くことで成り立っているとされている。
このことへの基礎知識がない新規参入者は、ニコニコ動画における「歌ってみた」のように明文化されたルールがないために、無条件に二次創作やパロディが許容されていると思い込んでいるのではないかと考えられる。それゆえ前例を基にした「ボーダーライン」を論拠としない「パロディ無罪」や「模写無罪」といった主張が出回っていることが推測される。

法や契約で保護されない限りは二次創作やパロディであっても、法の上では「海賊版(違法なコピー品)」と同様の扱いであり、違法となる可能性は常に存在している。ただそれが権利者からの「親告罪」によって見逃されているだけであり、その事実を常に忘れてはならない。
昨今では同人誌即売会のイベントに企業ブースが多数並ぶなど、ファン活動とされる「頒布活動」が公に認められている傾向がみられる。しかし営利性の高いグッズの販売などが横行すれば、これが取り締まられることは可能性として否定できない。実際にグッズの業者販売やオークションサイトを通して、多額の利益を得る行為が取り締まられることは少なくない。(けいおん痛車ステッカー事件、ワンピースフィギュア魔改造事件など)

また無償の活動であってもダウンロードサイトなどに他者の著作物(複製)を無断でアップロードしたりする行為は違法性があり注意が必要である。この場合に問題とされるのは既存の著作物(例:CDやDVD製品などのデータ)がアップロードされることで、その著作物(データ・情報)の「希釈化」が起こり、製品の価値が無くなることが懸念される。
市場で購入しなければ手に入らない製品が、「無料でダウンロードできる」という事実は、その製品の市場価値を希釈化(あるいは喪失)させ、それにより市場経済が崩壊することを損害とする。
トレパク問題において「データのコピーはアナログの”窃盗”などと違って、実際に物が無くなることはない」という認識から「被害がない」とする意見もあるが、それは上記をもって否定される。

コミックやアニメの分野において、「歌ってみた」のように法や契約の包括内容に含まれるのは「新古書販売」「漫画喫茶」「レンタル」などである。この3つのうち、著作権者に利益が渡るのは「レンタル」のみである。「新古書販売」「漫画喫茶」は、違法ではないにしろ、著作権者に利益が渡る構造には今のところなっていない。
過去にブックオフが「21世紀コミック作家の会」に一億円の献金をしたとする事例がある。しかし、その明確な意図や使用目的は不明であり、著作権者の利益分配に回されたとしても、市場規模から推測して微々たるものであることが考えられる。

「歌ってみた」の包括契約もニコニコ動画のコミュニティ内においてのみ働くものであり、コミュニティ外では二次創作やパロディと同等の「違法性を含んだ」行為となる。歌は「楽曲(楽譜)」「歌詞」「(他者が行う)演奏」にそれぞれ権利が発生しており、どれかひとつでも無断で利用すれば違法となる可能性は含まれている。

最近ではクリプトン・フューチャー・メディア会社の「ボーカロイド」や、ZUN氏を一次著作権者とする「東方Project」などが、規約を通して明文化された二次創作活動を許容しており、グレーゾーンとは異なるこれらを活動拠点とするサークルも増えている。
しかしこれらにも「規約」は存在するために、これを破れば違法とされる可能性もある。実際にクリプトンでは「ダウンロード販売は頒布に当たらない」として原則禁止した事例などがある。(初音ミクMMD配布問題)
また東方ProjectのZUN氏も「エンディングの画像や動画の利用は認めない」など、独自の利用規約を設けている。

「歌ってみた」と「トレパク」の違いを細部にわたって分析すると、その差異はほとんど無くなってしまうかもしれない。しかし明文化された法や契約による保護は大きな違いであると判断できる。
さらにトレパクは「盗むこと(パクリ)」が目的であり、原典の明示など原作へのリスペクトが無いことがほとんどである。
以上が両者が異なる点ではないかと結論づける。



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