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パブリック・ドメイン(権利放棄)における出自の必要性について

パブリック・ドメイン(以下PD)とは、もろもろの権利が存在しない状態のことを指す。権利が存在しないものであるから、これを利用することは原則自由である。例えば大昔の著作物は著作権の保護期間(著作者の死後50年)を過ぎており、著作権が切れていることも多い。この場合、対象の著作物は自由に扱うことができる。営利・非営利も問わない。
保護期間の経過以外にも著作権が引き継がれておらずに、権利者不在のために利用可能となる場合もある。
さらに別のケースとして著作権者が存在し、権利の保護期間内であっても、自分の意思で権利を放棄しPDとすることも可能である。

PDには主に以下のケースが考えられる。
①著作権の保護期間(著作者の死後50年)を過ぎている
②著作権者が不在である
③任意で権利放棄してPDにしている

⑴の場合には、例えばクラシックの演奏を例にすると、楽譜は古いものであれば利用可能なものが多い。また当時の演奏の録音なども同様である。しかし、現代において演奏された楽曲は、演奏者(楽団)への著作権が発生するので、この演奏を録音したものなどはPDとはならない。演奏は著作物の定義として認められているものである。
同様に演劇などもシナリオであるシェイクスピアの「リア王」などの古い作品は自由に使えるが、それを演劇として上演したものには著作権が生じるのでPDとはならない。この点に注意が必要である。

⑵の場合には、ロジックとしてPDが成り立つことを想定したケースで、正確を期すのであればPDとは言えない。
まず権利を侵害するにあたって、それに対し、侵害を訴える者がいてはじめてその事実が成り立つと言える。(犯罪成立要件は成り立つものとする)。この場合に親告罪であれば権利者が不在で訴えがなかった場合に、実質的にPDと同様の条件が成り立つ。(侵害を訴える権利者がいない)だが、やはり正規の手段であるとは言えず、明確なPDとは言えないため、あくまで例外としてのケースとする。
代表的な例として、極めて自然発生的なものは人工的な著作物として定義されないことが挙げられる。これも権利者不在のものだといえる。(著作物ではないが)。ただしこれを被写体に絵画や写真を創作した場合に、画像や映像として著作物と定義されれば著作権保護の対象となりうる。

⑶の場合には、権利者が自らの意思で著作権を放棄することでPDとなる。そのためにはPDを宣言するか、世界基準のPDマークを付属することで成り立つといえる。



今回、特に取り上げておきたいケースは、⑶におけるPDの成立条件についてである。
PDであればもはや著作権者の存在をなくしても、著作物の利用に問題がない状態だといえる。それは上述したクラシックの楽譜や台本を例に挙げたとおりである。しかし、⑶の場合にはPDであっても著作権者の存在を無視できるものであるとはいえない。
理由として「存命で存在する著作権者が本当にPDを成立させたか」という事実の提示が求められることが考えられる。この場合、⑶においてPDであるという証明は、著作権者(あるいはその宣言)の存在を明らかにできなければ、明確にPDであると証明できない。この点で⑶の場合には「PDであるから著作権者の有無を問わない」とはできない。

証言やPDマークが付随されていたとしても、明確にこれを証明とすることも実際にはできない。何故ならば、これらは権利者以外の人間が後付けすることも可能だからである。この場合に著作物を無断利用するために虚偽の表示を施したりすることが考えられる。
さらには無断利用者が権利者自身になりすまして、虚偽のPD宣言や表記を施すケースも想定される。



そもそも私が、この可能性について考えたのは、私が匿名掲示板で、匿名でPD表記を施した画像をアップロードしたことから始まる。

この画像がTwitterで拡散されたが(http://twitpic.com/agu1zw)、いくつかの問題点があった。まず上述したようなPD証明についての問題である。加えて、匿名で投稿したことにより、権利者としてのPD宣言も出所を明らかにできない状況を作ってしまった。後付けとして作成の元データを提示することことにより、権利者として証明することも考えられるが、さらに間の悪いことに今回はアップロードした画像以外に、PSDなど作業形態の基のデータを保存していなかった。この点でも不備があったことについては後述する。このことも含めて、いくつかの問題を提起した。

・匿名掲示板でPD宣言をしても、それを正当なものだと証明しづらい
・また匿名である以上は著作権者としての宣言も事実と認められない可能性もある
・作者不明のために訂正などがあった場合に確認できない
・作者不明のまま拡散されたために、本来は作者が受けるべきであった批判まで二次利用者が受けることになってしまった*

*リプライされたツイート
https://twitter.com/daidai197x/status/234964670010765312
https://twitter.com/mogura2001/status/235020155023925248
https://twitter.com/joulli/status/235019039250984960
https://twitter.com/joulli/status/235019215239774208
https://twitter.com/joulli/status/235019514717302784

PDであるから訂正などは必要に応じて利用者が自由に行えばいい。しかし内容に関する事実の確認などは匿名や作者不明では行えない。無断転載のように賞賛・批判を含め、制作者に情報が届かないこと(ある意味で責任逃れ)は、PDともまた違うことだと認識を改めた。これまでPDには「権利を放棄する」ことによる「無責任さ」があったように考えていたが、それは間違いだった。
一切の氏名や出自を放棄してPDにしたいという思いが私の中にあった。重要なのは内容であって、それを誰が言ったかは問題としなかった。またそのことで利用者も作者に気兼ねなくに自由に利用できればと考えていた。しかし発言や表現には責任が伴う。それから逃れるために、時に匿名を装うこともありうるだろうが、今回のようなケースではそのようにPDを用いるべきではなかったと反省している。

これらのことから、PDで権利を放棄する場合であっても、権利者としての出自の必要性は求められる。PDの宣言にあたっては、その宣言が利用者や第三者からも常に見えるようにしておく必要がある。HTMLやTweetなどでwebに残すといった手段や、頒布される資料そのものにPD表示とその宣言を権利者として出自を明らかにしておく必要がある。



先に挙げた、PSDファイルなどによって作者であるという証明を果たす必要性が求められる機会は、今後も高まっていくものと考えられる。「ニコニコモンズ」のような換金システムをもつサービスでは、作者としての証明を求められることもあるだろう。そのあたりの仕組みはまだ未発達で、ファイルの有無だけで証明とするにも問題があると言わざるを得ない。だが、それ以外にも証明を必要とされる場面は多々あるといえる。

「あなたは私の絵を無断転載したが あなたが私のどの絵を盗んだのか教えることはできない」
このケースでは無断転載をされたとされる権利者(自称)が、その削除を求めた件であるが、このアカウントが実際に権利者かどうかは明確にされていない。このような状態で権利を主張することは虚偽に等しく、事実として認められるべきではない。

内容を読むと権利者(自称)は、個人情報(本名)の特定を避けるために、あえて匿名アカウントで注意をしたという事情のようである。(WEB上ではすでに別アカウントで本名を名乗っているとのことだが定かではない)。そして、そのために本名のアカウントを明かすこともできないとしている。

後半では他にもソフトウェアのライセンスの提示なども求められているが、それにも答えてはいない。ライセンスの提示などは本来なら、本件とは無関係であるためこの主張は認められる。
しかし、こういった場合に何らかの提示がないことは「割れ(違法使用)」の疑いを持たれたりすることもあり、自身の潔白を示すために何らかの証明の提示が可能なら、シリアルキーや個人情報の開示に注意しつつ、提示できる範囲で公開する必要性もないとは言えない。

一番の問題は、「権利者であると証明できないのに、権利者を名乗って権利を行使した」という事実でである。本人は後のコメントで「”お願い”はしたが、”要求”はしていない」との旨を述べているが、経過がどのようにあれ、結果として権利を行使したのと同様の要件であれば事実としては否定できない。

この「権利者であると証明できないのに、権利者を名乗って権利を行使した」という点については、無断転載した相手側も「本当に権利者なのか」という部分をしっかりと確認してから真摯に対応するすべきでもあった。(権利者でなくても公序良俗に背く行為であれば、それが注意されたことに対応すべきではあるが…)
この点で相手側にも不備があったといえる。

権利者(自称)も「自分が権利者である証明できない状態で、権利者として出てきたことは自分に非があった」と反省している。
ただ、その後もコメント欄で引き続き口論した結果として話がもつれていったように見える。これは炎上に見られる典型的なパターンのひとつ(謝罪はしても、後々に言い訳や自己正当化を含める)といえる。今回の件は様々な点から、当事者のインターネットでのコミュニケーション能力が足りていなかったことも原因のひとつに挙げられる。

・証明できないが権利者を名乗ってしまった
・質問する側の意図を理解できないために敵のように思ってしまった
・ライセンスの提示など、比較的に簡単なことも証明できなかった

ライセンスに関しては、イラストレーター(自称)を名乗るのであれば、それなりに知識は持っておくべきである。解らないのであれば、調べるなり、聞くなりできたはずだが、それもしなかったことはネットを十分に活用できているとはいえない。この点でも経験不足が推察される。

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権利というものは義務を果たす者に広く認められるものであると同時に、限られた者のみが持つことを許される特権でもある。そして特権を振るうのであれば、なおさらに強い義務が求められる。今回のように「著作権者として権利を行使する」という場合に、「それが何者であるかは証明できない」とすることは横暴であると捉えられても致し方ない行為であるといえる。

その点で、最初に述べてきたPD(パブリック・ドメイン、権利放棄)に関する私の失敗も、そのまま当てはめることができる。「権利を放棄する」ということも、また権利の行使に他ならない。今後は簡単な創作物であっても、PSDファイルなどの保存も心がけるようにしなければ、私もまた権利者として権利を行使できなくなる。面倒でも権利を持つ以上は、そのための義務も果たさなければならない。
この辺りも次回に予定している「無断転載と成りすまし」についての考察に含めていきたい。

ところでこの記事で一番の問題は、私が件の画像の権利者だと証明できないことだ。
一応、可能な限り詳細を述べておくと、五輪サッカー男子エジプト戦か、メキシコ戦の直前に完成して(深夜1時前、たぶん試合が負けだった気がするから8月8日のメキシコ戦)、CLIP STUDIO PAINT PROで全部を仕上げて、掲示板に上げようとしたら容量オーバーで仕方なく、SAIで容量を圧縮して、プロパティで情報を削除してアップロードした。
コメントの詳細は覚えていないが、権利放棄するので自由に使っていい旨を書いた。レスにabcでじわわがゴニョゴニョ…。PD表記はCC(クリエティブコモンズ)のものを使用。少し見やすく変形で拡大した気がする。

しかしこれでも証明できているとは言えないし、やはり元ファイルの保存が一番か…。レイヤー残したままで。このあたりはニコニコモンズでも問題にされていたところ。


ニコニコ関連サービス全体について
無断転載などの著作権侵害の横行
投稿者以外の第三者が権利を有している作品の投稿はニコニコ動画はじめ関連サービス全体で禁止されているがドワンゴ・ニワンゴ共に権利者からの申し立て・証明が行われない限り対応しないため現在多数の規約違反素材・作品が確認できる
(引用:ニコニ・コモンズ クリエイター奨励プログラムに関する情報まとめ

本人証明という方法もいくつか考察の中で提示していきたいところ…。
龍頭蛇尾(りゅうとうだび)な記事になってしまった。
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