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著作権ロンダリングは可能か?

「他人のものを勝手に利用することはできない」

一見にして常識に思えるこの言葉が最近では常識ではなくなってきており、別の常識が生まれてきている。

それが「他人のものでも勝手に利用してしまおう」という、ロンダリング行為である。

特に本稿においては著作権を題材とした「著作権ロンダリング」について取り上げてみたい。


情報洗浄の時代

「ロンダリング」とは、「洗浄」を意味し、元来は犯罪や汚職など違法な行為で得られた資金を有価証券や外貨に換金するなどして、出所を判らなくし再び市場に流通させることを指して「マネーロンダリング(資金洗浄)」と揶揄されたものである。
(参照: 資金洗浄 - Wikipedia

そして最近では通貨のみならず、「情報」もロンダリングの対象となる。
これは通貨や金品など物質が存在する「有形財産」の他に、著作や特許のような形を持たない情報が「無形財産(知的財産)」として、その価値を認められてきたことに由来する。これにより形を持たない「情報」が通貨や金品と同じように、盗んだり利用する価値が出てきたのである。


ブランドの偽装

いわゆる「パチモン」「海賊版」と呼ばれるブランド物を似せて作ったバックや服飾品。これらはグッチやルイ・ヴィトンといった「ブランド」に価値があるとされるために利用される最もたる例である。このように名前やパッケージといった「情報」が価値を持つと認識されるものについては積極的にロンダリングの対象とされる。

・産地ロンダリング
実際の生産地よりも評判の良い産地にするため、表示を偽装したり、現地で加工したりする。

・学歴ロンダリング
よりよい就職口を求めて、最終学歴を有利な大学に書き換える。

・ネームロンダリング
不法滞在などしている外国人が名前を偽って、日本人の養子縁組になったりする。


情報源の偽装

発せられる情報は常に「情報源(ソース)」をもつものであり、それがない場合はデマやホラといった「偽装された情報」の可能性が高くなる。それを人為的にコントロールして見せ掛けに情報の信憑性を持たせようと行われるのが出所のロンダリングである。

・ソースロンダリング
出所が曖昧で不確かな情報だが、人為的にメディアや著名人を通すことで信憑性を持たせようとする。

・ポリシーロンダリング
自らの嫌悪感から特定の対象を規制したいが、賛同の多い青少年育成や児童保護などを建前にする。

・寄付ロンダリング
最終的には自らの資金としてしまうが、集金の理由として被災地支援などを装い資金用途を錯覚させる。

(参照: 増殖するロンダリング - ラベルに惑わされないことの難しさ


目的は手段を正当化するか?

上記らはいずれも造語であって「○○ロンダリング」という学術的な用語が存在するわけではない。しかし他にもロンダリングと名前を付けられる行為は多く存在しており、特にインターネット上においては議論に際し、単語として定着するものが多いようである。

これら「ブランドの偽装」や「情報源の偽装」などにおいて共通しているのは、やはり「ロンダリング(洗浄)」して出所を判らなくするところである。その仕組みは様々だが、主に元々ある根源を別のものに置き換えたり、元々ないものをあるように見せかけたりといった手段が介在する。

一見すると「詐欺」のようであるが、よく見るときちんと公正なもののようにも見える。どちらともいえず判断が鈍る。認識力や判断力の低い段階であれば容易に引っかかる。それが「情報ロンダリング」の基本的な構成である。

何故そのように人を惑わす必要があるのかと言えば、「利益」のためである。これも共通している。

「産地やブランドを偽装しても売り上げが伸びればいい」「学歴や名前を偽装しても就職できればいい」「情報源をボカしても(記事が見られて)広告収入が増えればいい」「人を騙しても賛同や資金を得られればいい」といった理由である。

(参照: なぜ相次ぐ食品偽装? 背景に4つの理由
(参照: まとめブログってなんでこんなに嫌われてるの?
(参照: 学歴ロンダリングはなぜいけないのでしょうか?わかりません


情報ロンダリングの発生条件は

上記の参照記事、「なぜ相次ぐ食品偽装? 背景に4つの理由」では、偽装の理由を以下のように述べている。

 ・偽装が比較的に容易である
 ・偽装することが利益になる
 ・法的な制限が緩い
 ・消費者が情報について認識不足である

「利益」については先述したとおり、残りの3つについても同様に情報ロンダリングに当てはまるといって差し支えないだろう。

洗浄手段は周到化され日増しに洗練されている。条件さえ揃えば情報のロンダリングは難しいことではない。
情報ロンダリングすれば利益がある、利益が増える。
法的に細かい制限があっても決定的なものではなく、実際に施行されているのは極一部であり、いたちごっこにすぎない。
よく知らない消費者(カモ)がいくらでも新しく湧いて出る。

こういった条件が揃ったときに「情報のロンダリング」は発生するようである。



著作権ロンダリングは存在するか

結論から述べれば、すでに数多く存在している。

下記は宝島社から出版されている書籍であるが、内容はインターネット上の写真を無断利用して転載しただけのものである。もちろん写真の著作権者の権利を侵害する恐れが高い利用形態であり、通常はこのような出版形態が取られることはない。では何故このような異質な形態の書籍が世に出ているのかというと「著作権ロンダリング」で画像の出所がボカされているためである。


ねこ式ねこ式
(2012/09/25)
軟式文芸部

商品詳細を見る

以下のツイッターアカウントを見てもらいたい。これは「ねこ画像bot」という非公式なアカウントで、インターネット上の猫の画像を集めて無断で転載しているアカウントである。そして上記の「ねこ式」には「ツイッターで集めたネコ画像+爆笑コメント満載!」と書かれており、帯には「ねこ画像bot」のURLまで書いてある。

このように書籍に書かれていると、読者からは「このbotの運営者から許可を取って掲載しているのだな」というようにも見て取れる。しかし実際にはbot自体が画像を無断転載しているのであり、このbotの運用に画像の権利者からの許諾などは存在していない。もちろん「ねこ式」の写真や奥付にも権利者からの許諾についての記載や、出自・出典の記載は一切されていない。
(通常であれば写真集はカメラマンの名前や写真の提供元が記載される)

つまり、もともと無断利用されていた写真を、あたかも許可をとったように見せかけて本にしているのである。



本書冒頭の他に宝島社から同様に出されている書籍「ネコでプッ!面白ネコ画像集」の巻末でも、「本書において、該当する著作権者の方がいらっしゃいましたら、お手数ですが下記アドレスまでご一報ください。」とある。要は権利者の許諾を一切得ずに出版しているため「事後対応するので何か問題があったら言ってください」ということである。これを理不尽に思うか、通例と思うか、現時点では認識が分かれる。

これまで出版においてこのような権利物(画像・文章など)の扱いは一般的ではなかった。あったとしても目立つものではなく、コンビニなどで売られるゴシップ誌の一部であり、一般の書籍として多く広まることはなかった。しかし昨今では複数の出版社から、このような書籍がまるで公正な作品集ように売られることが多々あり、書店や通販で購入することができるようになっている。



著作権ロンダリングは何故行われるのか

前述した「ロンダリングが行われる4つの理由」に照らし合わせれば、「ロンダリングが容易であり、利益になり、法的リスクが少なく、消費者が事情に疎い」ことが挙げられる。著作権ロンダリングについて、これらをひとつずつ検証してみよう。

【著作権ロンダリングは容易か?】
下図を参考に、インターネット上では著作権ロンダリングは比較的簡単に行われる。インターネット上では面白いコンテンツや話題性のあるコンテンツは、利用者の多くが不正な方法でも構わず拡散していくので元の作品が判りにくくなりやすい。

もちろん判りにくいだけであって、決して判らないわけではない(後述)。しかし多くの利用者のうち、どれだけが正規のコンテンツを探し当てて公正な利用を心掛けるかというと疑問である。多くの者は即時性のある「面白さ」や「楽しさ」だけを求めて、それが本来は誰のもので、どのような用いられ方をするものかということは気にかけない。

20140225_03.jpg

【著作権ロンダリングは利益になるか?】
上図の末尾にも書かれているが、著作権ロンダリング、あるいは「無断転載ビジネス」と言い換えてもいいが、これらはまず売り上げに対してコストが非常に少なくて済む。通常の写真集のようにカメラマンやモデルを雇う必要もなければ、スタジオを借りたり、機材や取材費を出す必要もない。専門家も専門的な知識も必要ない。

そのうえ、ネットで話題になっている画像などはすでに選別されたネタであるために人々の笑いのツボを抑えており、自分達で見直しをする必要もなく、時間的なコストも非常に少なくて済む。要は金銭的コストも時間的コストもなく、タダで手に入れたものなのだから、それを売れば儲かるのは当たり前なのである。

pixiv年鑑2009 オフィシャルブックpixiv年鑑2009 オフィシャルブック
(2009/08/24)
pixiv年鑑編集部

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2009年ごろにイラスト投稿サイト「pixiv」において出版される書籍に利用されるイラストの利用料が無料(サイト内ポイントで支払われたが利用価値はほぼ無かった、後にポイントは廃止された)という事例が話題になった。これも無断転載ビジネスと同じように、コストがかからないために流行した出版形態である。
(参照: イラストの商業誌無料掲載に関するTL


【著作権ロンダリングの法的なリスクは少ないか?】
著作権法は現行法(2014年)では「親告罪」であるために、明らかに違法性があっても権利者以外の人間にはどうしようもないのが現状である(一部例外アリ)。ゆえに違反者がリスクと恐れるのは権利者のみであるが、著作権法の多くは民事裁判で争われるために、アマチュアが写真一枚のために裁判を起こすといったリスクはまず発生することがない。

著作権侵害では「故意に著作権を侵害した場合」においては、刑事罰を適用できるため民事訴訟を起こす必要はないが、警察がこれら小規模な侵害行為を取り締まるかというと、その可能性も低い。また実際にこういった出版物を取り扱った出版社や出版部署、発行人や著者が罰せられたという実例も近年では存在しない。
(参照:著作権法の民事と刑事の違い
(参照:民事と刑事の違い )(参照: 警察の「民事不介入」原則についての問題

そもそも「著作権ロンダリング」や「無断転載ビジネス」を展開している諸々の関係者が、何の処罰も受けず中指立てて往来を堂々と歩いているのが現状なのだから、法的なリスクなど無いに等しいと言っていい。
(参照: 「著作者が見つからなければみんなのモノ!?」波紋を広げる片岡Kの"ネット画像本"
(参照: 旧カオス*ラウンジ 藤代嘘「権利者本人からこちらに直接例えばメールがきたりとか苦情があった場合は、対応します」


【著作権ロンダリングに対して消費者の認識は薄いか?】
上記の記事「「著作者が見つからなければみんなのモノ!?」波紋を広げる片岡Kの"ネット画像本」には以下のようにある。

”「この手の、ネット画像を拾って集めた本というのは2008年くらいに一度ブームがあって、最初に出た本はコンビニを中心に10万部を超えるベストセラーになりました。この成功を受け、中堅の出版社から次々に類似本が出版されましたが、それらも7~8万部は売れたようです」”

この言葉が示すとおり、消費者にとっては元のコンテンツが誰のものだろうと関係がないという認識が強そうである。勿論それ以前に「そもそも無断利用されたコンテンツである」という認識すらない場合もあるだろう。

他に例を出すと、Twitter上の「ワロスbot」など無断転載をビジネスモデルにしている個人や企業は決して少なくはない。その手のまとめサイトやビジネスアカウントはここ数年で激増している。そしてやはり、知ってか知らずか「面白いから」「楽しいから」「便利だから」という理由で、安易に無断転載ビジネスを利用してしまう消費者の姿がそこには必ずある。

スパムや詐欺広告を踏まされても気付くことなく、それらを利用し続ける数十万人の利用者たち。
このような状態を「消費者の意識が高い」とは言いづらい。



ロンダリングされた情報源を見つけることは本当に不可能なのか?

まったく不可能ではない。

実際によくコラージュネタにされているペンギンの画像を例に見てみよう。こちらは「自衛隊大阪地方協力本部@公式」のアカウントが、『ドキュメント南極観測43 アデリーペンギンその5 (msnフォトエッセイ 2012.06.19)』に掲載された写真を無断で改変・転載しているツイートである。(msn掲載写真の著作権は保護されており、サイトに知的財産について記載がある)

元の記事はGoole検索で「ペンギン コラ 元」などのキーワードで検索して、リンク先を参照することで簡単に辿り着けるため、作者不明でもなければ、出自が不明でもなく、msnの記事に載せられた写真を無断で利用する行為は良識を欠いたものだと判断できる。(そしてこれが3000RTされているのが現実である)

公的機関の公式アカウントがこのような行為を行っているのはリテラシーが低く残念である。
国家に属する公的機関がこのような状態なのだから、一般的な市民が同じような認識レベルであっても致し方がない。実際に誰でも「何がいけないのか」といったことを自覚しない限り、こういった安易な行動はなくならないだろう。

このように元の画像を探すことは決して難しいことではなく全く不可能ではない。それでも画像転載本を出している多くの出版社や著者が「探すのが困難だから」と言っているのは、ただの言い訳にすぎない。これは後述する「アホ男子かるた」の事例でも言及したい。


直接的になる無断利用

こういった行為が出版業界や一般において広く浸透し始めると、もはや著作権ロンダリングなどという回りくどいことさえせず、ほぼ直接的にバレバレの状態で他者のコンテンツを無断利用しようとする者が出てきた。

もはやタイトルからして隠す気ゼロである。

ログミー転載まとめ「ITビジネスの原理」特別編集 10分対談 けんすう 猪子寿之 林信行 仲山進也 佐々木伸一 清水ハン栄治 宇野常寛 尾原和啓ログミー転載まとめ「ITビジネスの原理」特別編集 10分対談 けんすう 猪子寿之 林信行 仲山進也 佐々木伸一 清水ハン栄治 宇野常寛 尾原和啓
(2014/02/11)
尾原 和啓、けんすう 他

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「ログミー」とは、テレビやラジオの著名人の発言をそのまま文章に書き起こしたサイトのことである。そしてその内容を本(電子書籍)としてまとめたものが上記の「ログミー転載まとめ」である。もはやツッコミさえする気になれない。

(参照: また「ログミー」が著作権者に無断でログを書き起こして公開して著作権違反的なカーニバルを起こす


最近ではこのように電子書籍として他者のコンテンツを直接的に収益化する例が見受けられる。以下の電子書籍も「試し読み」を見た限り、他の「ネット画像転載本」と同じ内容が見受けられた。

写真で一言。写真で一言。
(2013/05/01)
荒木 誠一

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ボケて - 写真で一言(bokete.jp/)」は、ネットの画像を転載してお題にし、それに一言つけてもらう大喜利サイトである。サイトに転載される画像の大半は他者の権利物が無断で利用されている。そして「ボケて」は何度か書籍にもなっており、今では年ごとに書籍化されるシリーズものとなっている。 (※下記は紙の書籍)

写真で一言 ボケて写真で一言 ボケて
(2013/03/02)
ボケて制作委員会

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こちらでは掲載された軍艦の写真が、有名な個人の写真加工・編集サイトからの転載であったことが問題となった書籍である。こちらも書籍の内容はネット上の画像を集めて、Wikipediaの説明文をまとめただけの転載書籍である。

日本の軍艦 120艦艇 (竹書房文庫)日本の軍艦 120艦艇 (竹書房文庫)
(2013/08/09)
歴史博学倶楽部

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戦中の写真については著作権が切れていることが考えられるため、転載などは比較的に自由である場合が多い。しかし件の写真においては、「デジタル着彩」として写真をデジタル技術で加工・編集し、鮮やかなものへと修復処理しており、新たに著作権が生じるものと考えられた。

また、転載記事であるためか、オリジナルのサイトではないところに無断転載された写真への誤った記述をそのまま掲載しており、クオリティの低さが露呈している。

(参照: 艦艇写真のデジタル着彩 - お知らせ
(参照: 竹書房 - 【お詫び】文庫「日本の軍艦」についてお詫びとお知らせ


こちらも個人サイトの写真が無断利用された例である。今度は写真を元にイラストを製作されたために問題となったものである。もちろん、元の写真と、作成されたイラストに依拠・類似性が低ければ問題なかったのだが、まったくそっくりそのままであったために、著作権の侵害が問われたものである。

昆虫交尾図鑑昆虫交尾図鑑
(2013/12/07)
長谷川笙子

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本件では写真の権利者にイラストの製作者が謝罪しており争いはないものとされたが、出版社は著作権の侵害を否定。法的に専門の方面からも「これらのイラストは著作権侵害の可能性が高い(弁護士ドットコム)」とされながらも現在に至るまで強行しているものである。
飛鳥新社は以前にも著作権侵害で問題となっている。(参照: マンモス画像の著作権侵害 飛鳥新社に賠償など命令

上記の軍艦文庫と昆虫交尾図鑑で共通している点は、巻末の出典WEBサイトに基のサイトのURLが示されていないことである。
こともあろうに無断転載された「まとめブログ」などを情報源として記載している。もしかしたら純粋に転載サイトだけを利用していて、転載サイトが「どこからか無断転載している」ということは考慮していなかったのかもしれない。

あるいは、基のサイトを書くと無許諾なので問題があると判断して、あえて転載サイトの方を情報源として記載したのか。いずれにせよ、著作権ロンダリングの典型的な構成である。

(参照: 模写先の写真サイト - マレー産コーカサスオオカブトムシ
(参照: イラストレーター謝罪文@ツイッター
(参照: 飛鳥新社 - 昆虫交尾図鑑について


このように掲示板やブログなどで地下的に著作権ロンダリングが行われている一方で、「明らかに人為的に著作権をロンダリングしようとしている」という現象が見られたのが「アホ男子かるた」である。

これはTwitterハッシュタグ(#←マーク)を使ってツイッターに投稿された「アホ男子母死亡かるた」という投稿ネタを無断で「アホ男子かるた」と改変し、さらに無断で書籍化しようとしていたことが発覚したのがそもそもの始まりであった。
(この本は後に問題点が指摘されて、事実上は発行延期になったままである)

こちらがオリジナルのツイート。日時から見ても古いものだということがわかる。
そしてこちらが上記をパクツイしたもの。日時からオリジナルよりも後出しであることがわかる。
このような「パクツイ専用」のアカウントが4つあり、あとは延々とオリジナルのツイートがパクツイされている。
詳細はこちらを見て頂けるとハッキリする。

(※パクツイ=パクリ+ツイートの造語。主に他人のツイートを盗んだ場合に使われる)

こうして「パクツイ」をされたものを編集部がまとめサイトにまとめて書籍化したのである。もちろんパクツイした内容を書籍化したところで元のツイートをした権利者たちの権利が消えるわけもなく、パクツイ書籍化の事態が発覚して騒動となったのである。
(パクツイアカウント自体が編集部の運用であったかの確証はない)


Twitterを使った著作権ロンダリング?

尚、編集部は後日、自社の見解として「Twitterに投稿された内容は他者が利用することを前提としており、無断で書籍にしても問題はない」といった旨を発表した。(参照

もちろんこれは間違いである。
確かにTwitter利用規約には他者が自身のツイートを利用することが前提とされているが、それは限定的な場合であり、その条件とは「ツイッターAPIに従って共有される場合に限られる」というものである。

つまり「リツイート」や「HTML表示」など、Twitter社が提供する形に従ってWEBに表示した場合にのみ免責となるのであって、それ以外に勝手に書籍化する、投稿された写真を無断利用する、といった行為は著作権侵害などに問われる可能性がある。

このTwitterを使った「著作権ロンダリング」を唱える声は、あちこちで聞かれるが、どれも誤りでありデマである。
その根拠はまずTwitter社が「著作権侵害報告フォーム」を機能させていることからも明らかである。(Twitterに投稿した内容に著作権がなくなるなら、侵害される事実も、守るべき権利も存在しないはずである)

同じようなことは「2ちゃんねる」でも言われていた。転載したいものはまず2ちゃんねるに転載して他所に転載する。2ちゃんねるの中でも転載禁止の板にあるスレッドは、転載可能な板に転載してから他所に転載する。
もちろん、そんなことで転載禁止のものが、転載可能になるはずもない。単なる迷信にすぎない。


情報ロンダリングの目的は「楽して儲けたい」

アホ男子かるたも編集部は当初、「元のツイートをすべて探すのは困難」としていたが、これは単なる言い訳にすぎない。私は検索などを駆使して実際に2時間以内で9割の元ツイートを発見できた。つまり元々やる気がないだけなのは明白である。

このような企業態度からも問題に対して真面目に取り組もうという姿勢は伺えない。「楽して稼ごう」ということのみが目的なのだと取られても仕方がない態度である。実際に著作権ロンダリングをする目的の多くが「楽に儲ける」であるのは、ここまで示してきたとおりだ。

売れれば儲けもの、問題になったら面倒だから逃げる。
著作権ロンダリング、無断転載ビジネスに頼る編集部はどれも似たり寄ったりである。実際にこうして問題のある書籍が多々売りに出されているのを見ると、結局は「売ったもの勝ち」であり、権利者は泣きを見るのが通例となっている。

今回ここで取り上げた他にも無断転載を元にしたビジネスは多く存在する。書籍もまだまだたくさんあるし、海賊版グッズなどもたくさんある。

電子書籍の事例としては以下のようなものが見られるので注意が必要である。特に同人誌においては、これまでアップローダーやサイトに転載して、副収入として広告代(アフィリエイト)を得ることが目的とされていたが、昨今では同人誌を直接二次的にデータ販売するといった手段が取られることがある。

(参照: ケータイ小説SNS「Gocco/ごっこ」へ投稿した作品が無断で改題・電子書籍化されTSK編集部名義で販売中
(参照: Kindleストアでもし自分の同人誌が「無断」で売られていたら……? どうしたらいいかAmazonに聞いてみた


Twitterの転載本も発売されている。もちろんこれも著作権を侵害する恐れがある行為であり、Twitterの利用規約にも違反しているといえる。
爆笑 !ツイッター150連発 !爆笑 !ツイッター150連発 !
(2014/03/10)
不明

商品詳細を見る



自分の著作物がロンダリング利用されていたら、どうしたらいいのか

まず著作権ロンダリングされたからといって、法的な保護(著作権)がなくなるわけではない。自身が権利放棄をした(その同意をした)場合を除いてそのようなことはありえない。なので法律を根拠に行動して間違いはない。

弁護士に相談して民事訴訟を起こすか、「故意の著作権侵害」として警察に刑事事件として相談するか。
いずれにせよ、出版物であった場合には「ISBN」から相手の連絡先を押さえる。「日本図書コード管理センター」のWEBサイトへアクセスして、書籍のISBNを検索する。すると出版元の住所・会社名(氏名)・電話番号などが明らかになる。

その後、民事訴訟の準備を進めるなり、最寄の警察に相談するなりしてみよう。電子書籍の場合には上述したAmazon Kindleの事例のように、販売ストアに相談してみることを奨める。ちなみに本気で事を起こすのであれば表立って大騒ぎせずに静かに何事もないように振舞うことを奨める。
(参照: 日本図書コード管理センター) (参照: 地域別サイバー警察 連絡先


ゴースト作者?ゴースト編集部?

無断転載本の巻末を見ると、「○○企画編集部」といった記載を見ることがある。中には「ねこ式」のように「※軟式文芸部とはこの本のコメントを書くために限定で集められた人たちのグループ名。今後の活動予定はなし(4頁・原文ママ)」といったものや、「昆虫交尾図鑑」の実態不明のプロデューサーなど、訴訟や通報をするにしても実体があやふやな組織や人物もいる。

(参照: 『昆虫交尾図鑑』トレース疑惑、「担当不在」繰り返す飛鳥新社と「企画協力者」の不可解

権利者に許諾を取っていないのに、許諾済みのように見せかける著作権ロンダリング然り、こういった手口は、とにかく面倒にして権利者に訴訟や通報をされないようにしようという試みであると思われる。訴えられるリスクを前提に考えれば当然ともいえる行動である。


消費者として気をつけるべきことは何か?

これまで様々な権利問題を見てきて実感するのは、被害を受ける権利者というのはごく一部であって、大半は無意識にせよ被害を与えたり拡大させる消費者・利用者の方が多いということである。そしておよそ自らの生活と関わりのない消費者がこのような問題に対して真摯に受け止めるというのは難しいことである。

権利者は自分の権利物が無断利用されれば問題として受け止めるが、それを供給される消費者は自己の快楽が優先であり、権利者の実情など知ったことではない。短期的に見れば供給してくれる人間が悪人だろうと犯罪者だろうと、快適なサービスや商品を望むだけの消費者にとってみれば興味のないことである。

しかし長期的に見れば、著作権ロンダリングや無断転載ビジネスのような不正行為が常態化すれば、正規のコンテンツを作る人間に正当な利益が回らなくなり、不正なコンテンツだけが蔓延し、新しいものが生まれる土壌が失われていく。生活できなくなったコンテンツ製作者は他の労働に使役するしかなくなり、創作的な行為を生業とする人間が居なくなり、質の高い娯楽やサービスは生まれなくなってしまう。


悪行や犯罪はなくならない

人類の歴史的に見ても悪行や犯罪がなくなることはない。真面目に働く人間がいれば、その成果を掠め取ろうとする人間がいる。これは変えようのない人間の特性なのである。著作権ロンダリングや無断転載ビジネスもいくらでも湧いて出る。こういった問題を数年見てきただけでも上記に挙げたような事例が数限りなく、どこからともなく毎日のように湧いて出る。

そのような世界で「悪人を取り締まる」ことに決定的な効果があるのか?

あるわけがない。
一番効果がある対策は消費者の一人ひとりが、そういった商品やサービスを利用しないように心掛けることである。
消費者が正規のコンテンツやサービスを利用せず、無自覚に不正規なコンテンツやサービスを利用し続ければ、そういった不正なコンテンツやサービスが栄え、正規のコンテンツやサービスは緩やかに衰退していくのである。


世界を破壊するのは善人でも悪人でもない、無自覚な何でもない人間なのだと、私は思う。



【2014.12.01 追記】

扶桑社がTwitterのネタをまとめた無断転載本を出版していたので追記。
(参照: 扶桑社『あかんメール』における無断転載について


あかんメールあかんメール
(2014/10/30)
「あかんメール」選定委員会

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他にも「タカハシ ヒカル」の名義で宝島社から多数、出版されている猫の写真を使った書籍は、いずれも無断転載本である。残念ながら人気は高いらしく、抗議などがあるにも関わらず重版し、シリーズも第二段を出版している。
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