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なぜ二次創作は公式と同じタイトルをつけてはいけないのか?

今回は以下の出来事をもとに、「なぜ二次創作は公式と同じ作品タイトルをつけてはいけないのか?」ということについて論じます。

プログラマ『皆さんは非公式ポケモン改造ゲーム、「ポケットモンスター アルファ・オメガ」をご存知ですか?』

今回のこの事例は、いわゆる「改造ポケモン」と呼ばれる違法性の高いゲームの楽しみ方を広く公表してしまったことで問題が浮上したわけですが、大きな問題点は2つあって...、

 (1) 改造データで遊ぶためには基本的に著作権法に違反しなければならない
 (2) 改造データ作品のタイトルが公式の作品と同じになってしまった

...という2点です。


(1)技術的保護手段の回避

(※(2)について詳しく知りたいという方は、「(2)公式と同じ作品タイトルがいけない理由」まで飛ばしていただいて結構です)

(1)については、「技術的保護手段の回避」を行うことが違法とされます。ちょっと専門的すぎてよく解りませんね。噛み砕いていうと、DVDやゲームソフトにはデジタルデータとしての「複製」を防ぐための技術が試行されています。いわゆる「コピーガード」と呼ばれるものです。

「技術的保護手段の回避」というのは、このコピーガードの技術を何らかの手段で回避して複製することを指します。巷ではDVDなどの「リッピングソフト」が出回っていますが、これらを使用することがそれに該当します。これは以前までは著作権法の定める例外規定にある「私的使用(私的使用のための複製)」であれば問題ないとされていたものでした。

しかしDVDのリッピングソフトや、ゲームをパソコン上でコピー・プレイできる「マジコン」が普及したことで企業は私的使用であっても看過できないとして、司法に呼びかけて法改正を迫りました。そうしてできたのが「技術的保護手段の回避」を違法とする法案です。著作権法でそれが定められたのが2012年10月のことでした。

本来なら利用者がDVDやゲームを買って、それを自分でコピーして、自分で使う、ということであれば、見逃されていても良かったのですが、メディアからデータを吸い出して、それをインターネットで配布する行為がでてきたことが大きな問題とされました。
そしてそれをプレイするために「マジコン」などが広く利用され、結局は私的使用であっても「技術的保護手段を回避すること」自体を違法として、抑止力とするようになったのです。


改造データは技術的保護手段の回避が必須

データを改造するにしろ、改造したデータで遊ぶにしろ、どちらにしても通常のゲームデータの状態では行えません。つまり「データを改造する/改造データで遊ぶ」ということは、必然的に「技術的保護手段を回避している」ということを暗示しているわけです。

もちろんゲーム自体が改造を推奨していて、データを公開したり、ユーザーがゲームデータを弄ること自体を売りにしている作品もあります(俗にMODと呼ばれる分野)。この場合は規定の範囲内でデータを改造している分には問題はありません。しかしポケモンは、このパターンではありません。メーカーはデータの改造は推奨していないのです。

つまり「ゲームデータを改造している/改造データで遊んでいる」ということを公言することは、自ら「違法行為をしている」と公言するようなもので、大変なリスクが伴うものだということです。
このために通常、改造データに関する活動はアンダーグラウンドなもの(表面化しないコアな分野)として扱われていました。ゆえに今回のようにTwitterなど公開されている場所で「改造やっています」というのは、表裏どちらからも歓迎されるものではないのです。
(そもインターネット上では、どこであれ全世界に公開されている)


データの改造は暗黙の了解なのか

データを改造して遊ぶという行為はメーカーもすでに認知しており、あえて見逃されているのだ、という声もあります。これもひとつ事実ではあると思います。

企業が法改正を推してまで「技術的保護手段の回避」を問題としたのは、それによりコンテンツのデータがインターネットなどを通して配布されることで、企業利益(DVDやゲームの売り上げ)に悪影響を及ぼすと考えたからです。これについて、購入者が本当に「私的使用」の範囲内だけで楽しんでいれば問題にはならなかったと思います。(現実にそれは叶わなかったわけですが…)

ここから導けるひとつの事実として、企業利益に悪影響が出ない範囲であれば問題はない、と取ることができます。「問題はない」というよりも、「お目こぼししてもらえる」と言ったほうが正確でしょうか。率直に言って既存ゲームのデータ改造という分野は違法/合法を問わず、かなりの数が存在しています。しかし、そのほとんどは理由はどうあれ企業からは見過ごされているままなのです。

しかしメーカーもこれらの存在に気付いていない訳ではありません。
「マジコン」のときのように法改正によって、さらに手厳しく取り締まってくる可能性もありますし、目に付いたものから民事訴訟を起こして配布の停止や賠償を迫る可能性もあります。それはいつ起きてもおかしくはないのです。


改造データ(.ips)の配布は問題にならない?

これに対して改造データの配布側は、配布しているデータについて「.ipsデータは、ゲームデータそのものではないから配布に問題はない」とする主張があります。この主張に法的な正当性は認められるのでしょうか?

現在でも「純粋な」ゲームのセーブデータを公開することは違法行為とはなりえません。

「純粋な」と強調しましたが、改造データはこの点で通常のセーブデータの公開とは違いがあります。
純粋なセーブデータは元のデータそのままですし、ゲーム自体に影響を及ぼすものではありません。しかし改造データは元のゲームデータ(著作物)を「改造している」「改造するもの」であるため、著作権法の「同一性保持権の侵害」として問題とされる可能性があるのです。

実際に「ときめきメモリアルメモリーカード事件」では、企業側のこの主張が認められて改造データを配布した側が有罪判決を受けています。元のデータを改変する「.ips」などのパッチの配布も同様の罪に問える可能性はあると思います。


(2)公式と同じ作品タイトルがいけない理由

(2)の問題についてですが、著作権のような権利は「知的財産権」と呼ばれるものです。この知的財産権の中には「商標権」というものがあります。簡単にいうと企業の名前であったり、商品の名前などが「ブランド」となる場合に、それを保護する法律です。

「ポケットモンスター」という名前で商品を売っていた場合に、別のまったく関係ない企業から同じ「ポケットモンスター」という名前で商品を出されたら、元の企業は迷惑なわけです。お客さんは「ポケットモンスター」というブランドで商品を買っているわけですから。それを利用されてしまうわけです。

そこで商標権を取得して「登録者だけがこれを独占的に使用できる権利」「他の人が無断でこれを利用した場合は法律によって罰則を与える権利」を得るわけです。商標権を持っている人間がいるときに、商標権を持っていない人間がこれを利用することは違法となります。

(※ただし日常会話で使用したり、ブログ記事に書く場合など程度によって取締りの対象外となります)


著作権と商標権の違い

著作権法による罰則は権利者が「裁くか/裁かないか」を決めることができます。そして、権利者が罰則を与えると判断したとき以外は、警察でも違反者を取り締まることができません。これを「親告罪」といいます。

親告罪で人を裁く場合は、民事でも刑事でも権利者の意思が優先されます。よくいわれる「二次創作はグレーゾーン」というのは、この親告罪による判断があるからです。司法から見て明らかに違法なものでも、権利者が「訴える」といわない限りは罪に問えないのです。

しかし、商標権は「非親告罪」です。
権利者が「訴える気はない」と言っても、司法機関が違法とみなして取り締まろうと思えば自由に取締りの対象とすることが可能です。となると、著作権法のように「グレーゾーン」など存在しない、明らかに「ブラック」な領域です。


現在は知的財産権の奪い合い

近代では物質だけでなく、著作権・特許権・商標権・意匠権といった「知的財産」と呼ばれるものが非常に価値のあるものとして扱われています。ほかの所有権などに比べると「実際に物があるわけでもないのに、そんなに価値があるの?」と思う方もいるかもしれません。

CDやDVDを買うと、「CD/DVDを買った」と思う人が少なくないでしょう。これをパッケージビジネスといいます。しかし実際に私たちが必要としているのはメディアの中に入っている「データ(情報)」であって、パッケージは「飾り」でしかないわけです。となると、いくらパッケージ(物質)を保護する法律があっても、肝心のデータ(情報)は守れないわけです。

このために生まれたのが著作権法などの知的財産権です。中世にグーテンベルクの印刷機が発明された頃から急速に発展してきました。それがレコードやカセットテープ、ROM・CD/DVDを通して、現在ではさらに技術が進み、インターネットを介して「データ(情報)」のみが商品として流通するようになりました。

このような現代において知的財産へのリサーチというものも、かなり進んでいます。商標権でいえば商品を出す以前に、同じ名前の商品がないかリサーチします。宣伝する上でもGoogle検索などで競合する企業や商品があれば、それだけ不利となるからです。これを利用した「商標やくざ」や「ドメイン(URLアドレス)転売」という商売もあります。

有名な商品や、これから実用化されそうな技術が出てきたときに、先にその商標やドメインを取得して、企業がそれを欲しがった場合に高値で売るというものです。こういったことがイタチごっこで日夜行われているので企業も必死です。


企業は改造アルファオメガの存在を知らなかったのか?

と、まあ、このように取ったり取られたりが日常の商標なわけですが、今回の「アルファ・オメガ」という改造データの存在を企業が本当に知らなかったのか? というのは疑問が残ります。Google検索でも一番上に出てきますから、事前にリサーチしていたのならば知らないはずがないのです。

となると、リサーチしなかったのか? と思うのですが、上記で説明したような実態があるために「リサーチしていない」というのは、まずありえない話です。もしくは「何か改造データが検索に出てくるけど別にいいよね」ぐらいに思っていたのか、いないのか。怖いのは「民事訴訟を前提にしていたのでは?」という推測です。無いとは言い切れない。

冒頭に挙げた改造データの配布サイトはすでに閉鎖しているようですが、もし仮に訴訟を起こされたらどうなるのか? 実際のところは裁判になってみないとわかりませんが、刑事事件となる場合を除いて、まずは示談(当事者間での話し合い)によって収まるのが普通でしょう。

それというのも上述してきたようにデータを改造している側はとにかく不利な条件が多いのです。どこから突っ込まれても裁判で負ける可能性が高い。それだけリスクを背負っているのに、わざわざ裁判までして争うなどとは普通は考えません。刑事事件となり強制的に法廷に出ることになれば別ですが。


おわりに

昔は二次創作同人誌に公式のタイトルを付けるというのは、禁則事項とされていて、それは今も変わらないのですが、冊子自体に公式タイトルを載せることはなくても、ネット検索のタグなんかには公式のタイトルが付けられていたりします。このへんも結局どうなのかとは思います。

さらに昔は二次創作同人誌に出るキャラクターは「それっぽいもの」であって、「いやこれは別のキャラですよ」という含みを持っていたものです。それが今ではむしろ設定資料集を買い、全く同じに描かないといけないような状況になっている。この辺でも変化は出てきていると思います。

近年は例外として、企業からも二次創作が公認されていたり、同人マークによって二次創作が了承されていたりもします。このように許可されているからこそ、なおのこと「これは公式とは違います。二次創作(ファン作品)です」という区別が必要であるように思うのですが、まだこれが現状では上手くできていない。

公式と二次創作の違いを「見れば判るだろう」というのは慣れ親しんだ人間の主観で、例えばAmazonで作品タイトルを検索して出てきた正規品と、海賊版グッズ、無断で転売されている同人グッズ・同人誌などの見分けがつくのかといえば、これは相当に難しいものです。さらに一般的には「正規流通に偽物はない」という先入観もあります。

同人誌を集めたアンソロジーを知らないうちに公式のものだと思って買ってしまった、という体験をした人もいるでしょうし、海賊版のグッズを公式のものだと思って買ってしまった人もいるかと思います。特に最近は同人の冊子もグッズも質が上がってきているし、公的なものと品質に違いがないものも少なくありません。

だからこそ二次創作側はコミケや専門ショップなどを用いて、一般の商流通との差別化を図っているのですが、転売によって一般流通に紛れ込んでしまうことも少なくありません。そうなったときに見た人間が「あ、これは二次創作で公式のものじゃないのだな」と判断できる何らかの印しが欲しいとは思うところです。

昔は「xxxの二次創作だと思われては困る」から不明瞭にしていた部分ですが、今は二次創作がOKの作品もあるのですから、「これはxxxの二次創作です」という断わりを入れてもいいのではないかと思います。もちろん「暗黙」で成り立っている作品では記しづらいものですけれど、少なくとも作品名を入れなくとも「二次創作であり、公式のものではりません」という断りは可能なはずです。

公式のタイトル(商標)を流用するなど、公式と二次創作が混同されることがないように心掛けることが、これからのファンアートの作品には必要とされていくことでしょう。
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