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ニトロプラスの二次創作規約騒動が浮き彫りにしたもの

2014年7月初頭、ゲームやアニメーションを手掛けるメーカー『ニトロプラス』より出されている「二次創作のためのガイドライン」が話題を集めた。特に話題になった部分を引用すると以下のとおりである。

非営利的な二次創作活動におけるガイドライン

弊社ではファン活動の一環としての非営利的な二次創作活動について、
以下の条件の下にこれを許容させていただいております。

 1.創作性があること
 2.直接販売であること
 3.販売数量の総累計数が200個以内であること
 4.売上予定額が小規模(10万円未満)であること
 5.その他、絶対的禁止事項に該当しないこと”

ニトロプラス - 著作物転載ガイドライン


要約すると、「新たな創作性があり(原作の複製物ではない)、イベント会場など対面での販売に限定し、販売数は200個以内、売り上げは10万円未満であること」である。この規定の範疇であるのなら、メーカーとしては違法性があるとは判断しないということである。逆にこれを越えると法的処置の対象となる恐れがあることを示している。




ユーザーの反応とメーカーの顛末

これに対して、ネットでは以下のような反応が見られた。
主に「冊子の販売が限定される」ということへの関心が高かったようである。
(参照: 【周知】ニトロプラスが同人ガイドラインを改定 「200部以下限定」「書店委託禁止」など
(参照: ニトロプラスが二次創作のガイドラインを改定 「委託禁止」「200個以内・10万円未満」に賛否両論


しかし後日になってニトロプラスから、このガイドラインについて以下のような釈明が出ている。
(参照: ニトロプラス、二次創作ガイドラインの文章を変更へ 「意図とは異なる表現になっていた」と社長

結局、メーカーとしては横行する「海賊版グッズ」への対応として上記ガイドラインを制定したのだが、「冊子の販売が規制される」という思わぬ方向へ解釈で誤解が生じていただけのようである。この報告を受けて自体は一応の沈静化をした。しかし公式のリツイート数からも解るように、二次創作者から本件への関心が高かったことが伺える。



注目されつつあるガイドラインの存在

企業がファン活動の一環である二次創作に対して具体的なガイドラインを設けることは、市場の拡大や流通の一般化といった状況に対する法的な観点から近年では珍しくなくなっている。

デジタルツールの普及による二次創作物の製作、インターネットを使った作品公表の簡略化、オンデマンド印刷による低価格な製本、高品質で手軽なグッズ製作、コミックマーケットの大規模化、委託通販ショップなど販売経路の確保など、こういった面で「二次創作」というファン活動へ参加するための敷居は年々低くなり、関心を持つ層は確実に増えてきている。

そのためか、ニトロプラス以外にもファン活動へのガイドラインなどが示されて話題を呼ぶことも、最近では珍しくない恒例の出来事となっている。比較的に自由度の高いガイドラインを提示している「東方」「初音ミク」「艦隊これくしょん」などは、新しい権利の在り方として著作権の専門書に名前を連ねるようにもなっている。

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(2012/09/14)
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画像や映像の配信に関するガイドラインの制定

「ファン活動」という分野として最近では、ゲームなどのプレイ動画を配信する行為も盛んに行われている。俗に「プレイ動画」「実況」と呼ばれるこれらの行為は主に動画サイトなどに投稿されるが、映像に映されたゲーム画面などは著作権の保護に該当しないのか?

実際のところ法的な保護の対象になるといえる。そのためプレイ動画が出始めた当初はメーカーが動画サイトに対して削除を依頼するケースも少なくなかった。特にノベルゲームや、ゲームのエンディングに関する情報は公開を望まない傾向が強い。これはプレイ動画の配信を承諾しているメーカーや作品であっても制限される傾向にある。
(参照: ドラゴンクエストX 冒険者の広場ガイドライン

また最近では、SONY社の「プレイステーション」シリーズにおいて、TwitterやFacebookなどのSNSにプレイのスクリーンショット(プレイ画像)を投稿する機能があらかじめ付属している。これらの機能はゲームプレイ中にゲーム本体に備わった機能で画面を撮影すると、撮影画面の角に「(c)年号・メーカー」が表記されることで出典がわかるようになっている。
(参考資料:「勇者のくせに生意気だG」ソニー・コンピュータエンタテインメント 2013年
2014-07-09-124326.jpg

ニトロプラスも利用規約のところに「画像の転載について」の項目を設けている。内容を読んでもユーザー側にかなり好意的な利用規約となっている。通常、これまでの対応であれば企業側がこういったガイドラインを示すことは殆どなく、画像の転載などについては何も示さずに「黙認」というのが一般的であった。そのためにユーザー間ではアニメやゲーム画像の転載などについて著作権法を論拠にした議論がたびたび起きている。



ガイドラインや著作権が表示される理由

なぜ企業がこういった対策をする必要があるのかについては幾つかの理由が挙げられる。

・海賊版との差別化
かつては「パロディ同人誌」として、「海賊版(違法な複製品の意味)」とも言われていた二次創作同人誌であるが、昨今は「ファン活動」として、非営利な活動である(という建前で)その裾野を広げている。かつては警察から暴力団など闇ルートの資金源であると疑われて一般の参加者が逮捕・拘留されるという事件も起きている。
(参照: ポケモン同人誌事件の情報ソースについて

・コラージュやフェイク画像との差別化
最近では「Photoshop」などデジタルツールの普及で、一般人でも画像の高度な編集や加工が容易になっている。一見すると編集や加工が施されたものだとは気付けないものもある。そのため、画像が公的なものであることを示し、出典が判るように「(c)年号・メーカー名・作品名」などを表示できるようにしている。出典の明記がないと画像(コンテンツ)だけが一人歩きして、元の正しい情報に辿り着けなくなってしまう可能性がある。

・インターネットにおけるインフラ対策
現代ではインターネットを介して誰でも画像や映像を配信できるようになっている。インターネットが普及する近代までは情報の発信というのは、テレビ・ラジオ・新聞などマスメディアの特権であり、一般人がこれを広く情報発信を行える方法はなかったのである。そういった状況がインターネットの普及で変化を遂げ、それに対応した方法が取られるようになった。

・TPPにおける著作権法の「非親告罪化」への対応
これまで著作権法において、著作権侵害という違法行為への対応は「親告罪」という方式を取っていた。これは侵害に当たる事実があっても、権利者が「侵害である」と認知しない限りは違法とならない方式である。権利者の訴えが優先されて警察や司法が独自に違法行為を取り締まることは殆どのケースで不可能になっている。



TPPの導入で二次創作の何が変わるのか?

上述した著作権法の「親告罪」は、その特性から権利者の意志次第で、違法行為の取り締まりを決めることができる。実際に現代の二次創作活動の多くは「著作権侵害」の構成要件を満たしており、いつ「犯罪」とされてもおかしくない状況にある。

その多くが看過され、見逃されているのは、ひとえに「親告罪」による権利者からの「黙認・お目こぼし」に過ぎない。二次創作者は、この点を決して忘れてはいけない。自分たちは権利者から法的に常に不利な立場にあることを失念してはいけない。二次創作者が安全な立場を確立させているという事実は皆無といっていい状況にあるのだ。昨今は二次創作の一般化でファン活動を行う者達から、こういった感覚が薄れてきているように感じられる。

さらに、TPPの導入によってこれが「非親告罪化」されるのではないか? という懸念が高まっている。「非親告罪」とは、「親告罪」と異なり、権利者の意向が警察や司法に優先されなくなるという状態である。つまり通常の犯罪のように「違法・犯罪」の構成要件を満たした時点で、いつでも逮捕ができるようになるということだ。そこに権利者の意向は無関係となる。

こうなると「親告罪」である現在のように、権利者の意向で「黙認・お目こぼし」することもできなくなってしまう。コミケやとらのあなに警察がなだれ込んで一斉検挙、大量捕縛ということもあり得ないことではなくなってしまう。成年・未成年を問わず、前科が付き、実刑が下される可能性もある。また「別件逮捕」のように「とりあえず」の理由で逮捕される口実とされてしまう恐れもある。

それでも前述したように「東方」「初音ミク」「艦隊これくしょん」などは、公表された利用規約の中で活動する限りは二次創作者にも一定の抗弁があり、必ずしも「違法」ということにはならない状況になっている。ニトロプラスが提示したガイドラインもこれに近いところがあり、ガイドラインを守っている限りは「お目こぼし」ではなく、正当な活動として認められる立場にあるといっていい。

現代において、企業がガイドラインの制定に努めるのはこういった背景がある。
漫画家の赤松健氏はTPPにおける非親告罪に対して、二次創作を事前に承諾するマーク「同人マーク」の普及活動を推進しており、自身の作品の一部にもそれを適用させている。
(参照:「同人マーク」運用始まる 赤松健さんの新連載から ライセンス1.0とFAQも正式公開



同人誌の市場形成と産業化

さて、以上を前提として、本稿の論旨は主にここから展開されるのだが、そもそも二次創作同人を取り巻く市場と産業には様々な立場があると言っておかなくてはならない。

現代における同人誌や二次創作における経済は、コミックマーケットやサンシャインクリエイションに代表されるような大型のイベント、とらのあなやメロンブックスのような流通店舗、pixivやtinamiの公表媒体の存在、印刷会社やグッズ製作会社などで巨大な市場を形成しており、各メディア業界もこれらと連携して、もはや同人誌市場はひとつの「産業」としての地位を確立している。

元来であれば「同好の士」という狭いコミュニティとして存在していたコミケも、現代では公式メーカーが企業ブースを出すにまで至り、純粋に利益を算出できる場として利用されている。かつては「海賊版」「エロパロディ」「アニメパロディ」などと揶揄された二次創作同人誌が売られる(頒布される)傍らで、企業人が商売をしているのが現状なのである。

また出版業界は、二次創作同人誌のマーケットから、公式のアンソロジーに掲載する作品を探索したり、作家をスカウトする場所として活用している側面もある。つまり公式のメーカー側が自社の二次創作同人誌を買い漁っているという実態がある。作家側もこれを理解しており、同人誌即売会を出世の道として捉えている面もある。さらに作家側は商業連載をしても原稿料などだけでは食べていけないため、即売会で冊子を売ることで生計を立てているという場合もある。



ファン活動としての二次創作

同人誌界の立場のひとつが「純粋な作品のファン」であるが、こういった純粋なファンの多くは、執筆業以外に職を持っていることが多く、同人誌の製作は趣味であり、生活の傍らでしかない。その点で前述したような「即売会で生計を立てる作家」とはまた傾向が異なる。

経済的に余裕のある層は印刷代なども工面できるし、多少の赤字や散財も「趣味」として享受できる面がある。しかし学生など収入が著しく限られる立場にあっては、赤字や散財は避けたいところである。そのために「なるべく売れる方が良い」ということになる。ここでも立場の違いを見ることができる。

さらにファン層は大きく「作り手側」と「受け手側」に二分される。元来の同人誌即売会であれば同好の士が互いの論評などを交換する場であって、古くは文学界の「同人誌」にまで及ぶ。マンガを主流としたコミックマーケットでは「同好の士」といえど、必ずしも「作り手」ではなく、「受け手」として読むことが専門の者もいた。

それがいわゆる「買い専(買い専門、読み専門)」と呼ばれる者達であり、その者達は交換する冊子は無いから、「印刷代を還元する」という概念で冊子と金銭を交換する。それが「頒布」と呼ばれる行為である。そうはいってもこれはあくまで「建前」でしかなく、金銭の授受がある時点で「販売」という形態と何ら変わらないことは注意しておかなければならない。



海賊版業者・同人ゴロ・商業同人の存在

かつて二次創作同人誌のマーケットは暴力団の資金源であるとか、海賊版業者の温床であると警察などには見られていたようである。様々な事件との(無根拠な)関連やマスメディアの偏向的な取り上げ方もあり、今よりも世間の風当たりは強く批判的であった。しかし実際には同好の士が楽しみを共有する場であり、そういった経済の暗部はないとされていた。

ところが昨今では様々な業者が入り乱れてインターネットを介して他社版権のグッズなどを販売するようになっており、むしろ現代の方が闇市場としての広がりと危険性は高まってきている。海賊版業者は主に「抱き枕」など利益率の高いグッズを量産し、販売することで多額の利益をあげる。これらは即売会のみならず、現在ではインターネットを通じた通信販売などでも取引される。生産や発送元の多くは中国などのアジア諸国であり、実態は不透明な組織が多い。権利者もこういったグッズ販売会社には手を焼いており、イタチごっこが続いている。

この他にも前述したような商業作家が即売会で一儲けする例も珍しくない。その場合は利益主義に走りすぎて権利者が目こぼしているグレーゾーンを逸脱したり、ルールや規約を無視する事例も珍しくない。利益主義の立場からすれば、「儲ける」ことが第一なのであって、コミュニティ内のルールや規約は煩わしいものでしかない。

最近ではコスプレイヤーが成人対象の「コスプレROM」を販売することも珍しくなく、公序良俗の面で問題となっている。また「うしじまいい肉」と呼ばれる女性コスプレイヤーは、「法人」や「一般流通商品」の存在が禁止されているコミックマーケットの即売会場で、商業用のDVDを販売したとして問題にされていた。

しかし、こういった前例に対しても様々な意見があげられ、非難するものから擁護するものまで様々である。


二次創作活動は「愛」という解釈の危険性

「二次創作は行われて当然のものであり、それによって利益をあげることも当然であるし、企業がそれを妨げる道理はないし、二次創作者が作品を支えているのだ。著作権者であるメーカーは二次創作者に感謝するべきで、ファン活動あってこそのメーカーだということを忘れるな」といった、脅迫のような意見を目にすることも少なくない。
(参照: ジャンルから同人作家がいなくなったり本の希少性が増えて争いが怒らなければいいが

二次創作の場がこれほどまでに市民権を得た現代において、このような主張を持った者たちが台頭してくることは予期できる現象ではある。しかし、やはりそれが当たり前であるかのような振る舞いには横暴さや疑問を覚える。こういった権利者とファン側のせめぎ合いもガイドラインを明文化する傾向に拍車をかけている。
(参照: 「うたプリ」同人グッズ販売者にブロッコリーがTwitterで警告



地方民は儲けがないとやっていられないのか

地方に住む者にとって年に数回とはいえ、上京するだけでも数万円の出費になる。サークル参加するのであれば、冊子を刷った収益が±0にならないと、交通費だけで大きな赤字になってしまう。地方民にとって冊子で黒字が出れば、多少は交通費を補填できる。ありがたい仕組みであるといえる。

しかしこういった地方民に対して、「趣味やファン活動であれば、出費があるのは当たり前」「趣味で黒字にしようなんておこがましい」といった声もある。確かにジャニーズのファンをやっている者が、「チケット代も稼げて、ツアー代もチャラにできた」なんて言ったら、「ん?」と少し疑問に思ってしまうだろう。だが同人誌の場合はこれまで金銭のやりとりが生じる「頒布(販売)」という文脈において、それがどことなく享受されてしまっている。
ペイできても「印刷代」までが認められる程度だろう。そもそも「頒布」という建前的な概念においては、「冊子」と「印刷代」を交換することで成り立つのであるから、それ以上は個人で負担するのが収まるべき筋というところだろう。

そこからさらに反論としてあがるのは、「”趣味だから稼いではいけない”ということも、またありえない」というものである。実際に編み物が趣味の人がいて、手製の編み物をオークションなどで売って収益をあげることは特に避難されるものではない。同人誌と同じように、その収益で材料費などの出費をまかなえれば、次の作品へと活動を継続しやすくなる。この場合であれば、何ら問題は問われないだろう。しかし二次創作は「二次創作」であるがゆえに簡単にそうとはならない。


二次創作で「稼ぐ」ことへの倫理的な問題

まったくオリジナルの手製の編み物を趣味で作り、それを売って収益を得るというのであれば、その行為に問題がないことは自明だろう。この例と異なり、二次創作で儲けを出すことが問題視されるのは、それが基本的に「他者の権利物」の借り物でしかないという点である。この点をクリアしないと、法的にも、倫理的にも、結局は二次創作は厳しい立場に置かれる。この問題をいくつかのケースに分類して考えてみよう。

・二次創作がOKとされていない作品について
いわゆる実質的には「黙認」でしかない状態の作品についてである。これについては倫理以前に法的な部分で問題になりやすい。「公式からファン活動として二次創作が許可されている」という抗弁もない。いわゆる古いタイプの二次創作ということができるだろう。しかし大手出版社など、ほとんどの会社は未だにこの方式を取っているところが多い。(この方式は前述したTPP後の「非親告罪」に対応できないので、もし、TPPがこのまま進めば、この分野は一気に廃れる可能性がある)

・二次創作がOKとされているが、商的な活動は制限されている作品について
「東方」「初音ミク」「艦これ」などがこれに当たるだろう。他にも「同人マーク」が付いたものもこの範疇だろう。一定の範囲で活動が認められているものである。規定の範囲内の活動であれば上述した「黙認」だけの二次創作よりは、法的にも根拠を持って「問題ない」と抗弁できる。この場合に問題とされるのはメーカーの示した基準を守れているかという点だろう。
非商業的な活動に限るというのであれば、商的な流通に乗せることはNGとなる。コミケや専門販売店への委託に限り認める。さらには在庫が有限でない「ダウンロード販売はNG」など、個別に条件がつくことが少なくない。

・二次創作が自由な作品について
いわゆる「パブリックドメイン」の作品や、作者が二次創作を自由に行ってよいとしているものである。現行の作品数は少ないだろうが、古典や歴史ものは自由だと言っていい。


「200冊」という発行部数は少ないのか?

数千冊を売り上げるという大手サークルと比較して、イベントに参加する大半のサークルは「ピコ手」と呼ばれる小数の売り上げしかないサークルである。そういったピコ手からしてみれば、200冊という制限内でもまったく問題はないだろう。実際にピコ手で刷られる冊子は多くても50~100冊で、それ以上は在庫を抱えることになりかねない。

つまり200冊という冊数で困るのは、中~大手のサークルであるといえる。ここでも層の違いを見ることができる。
結局は冊子に対するガイドラインではなかったが、大手はメーカーに利益還元するという仕組みも思考実験としては、ありなのではないかと思った。金額や規模の大小は別にしても。法的にも著作権法を論拠にすれば強制力はあるだろう。



インターネットはイベントや冊子の代替手段となるか?

現代ではインターネットの発達により、情報の発信や共有が簡単に行えるようになっている。マンガやイラストも、地方からわざわざ都心までイベントに出てこなくても、パソコンの画面で検索ワードを叩けば出てくるようになっている。では、これらインターネットを通じたデジタルな手段が、イベントや冊子作成の代わりとなりえるのだろうか? 答えはNOだろう。

・ライブとしてのイベント
イベントへの参加は他者の作品を楽しむほかに、その場に参加すること自体がひとつの楽しみであるといえる。スポーツの観戦や音楽アーティストのライブなどもそうだろう。テレビ画面やCD/mp3だけではわからない臨場感やライブ感を楽しみたいのだ。

・形としての冊子
レコードやCDという物質がなくなっても、音楽の本質的な体験に変化がないように、本のページをめくるということは、読書の本質的な体験ではなく、あくまでも付属的な価値ということになる。しかしレコードやCDという物質社会における「パッケージ」を熱心に収集するコレクターが多いことも事実である。コレクターが惹かれるのは、プレミア的な価値や、装丁や品質にある。
実際に日本の同人誌も非常に高い品質を保持しており、デザイン・紙質・色調・規格と、どれをとっても商業印刷に優るとも劣らない。世界的に見ても、学生や社会人が商業とほぼ同じレベルの印刷基準をクリアし、冊子を作成し流通させている例は稀だろう。珍しい文化であるといえる。これを保護、存続する意味でも、デジタルのみに傾向するにはもったいない。

・グッズの需要が高まる理由
しかしやはりこれらパッケージされた楽しみは、インターネットなどデジタルによって代替されてしまう部分も少なくない。情報としての「書籍の内容」「コミュニティへの参加」という意味では、インターネット上だけでも満足を得られる面がある。これと比較してイベントでさらに受容を高めつつあるのが「グッズ」の類である。
抱き枕・マグカップ・缶バッジ・クリアファイル・などなど、いずれも実用品として手元に置くには、パソコンの画面で眺めているだけでは満足できない。



二次創作というものの時代的な変化を見つめ直す

二次創作・同人誌の現状を改めて見直す必要が出てきている。市場の形成や産業化、その中で新たに二次創作同人誌業界で「稼ぐ」ことが常態化している。その中で純然たる「ファン」として活動するサークルも多い。
これらを見直して、まずは現状を正しく把握しないと、いつまでもコミケのようなイベント・その周辺を「(建前だけでも無償の)ファン活動」として見るには限界を感じる。組織化された転売屋海賊版の現状。新たに生まれた「ダンロード販売」という項目。このあたりをもっと調査資料を元にまとめていきたい。

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