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【TVタックル】出演した土屋議員とブログへの反論

2014年9月1日、テレビ朝日系列で放送された「ビートたけしのTVタックル 〜 ロリコン&暴力 アニメに規制は必要か?」に出演した土屋正忠議員が自身のブログに簡単な文章を上げた。

内容の主旨としては、「自分は普通のマンガ・アニメを規制したいわけではなく、殊更に残虐なものや猥褻なものに限って規制したいのだ」というものである。「詳しくは国会での議事録を見てもらいたい」という旨の内容もあり、そちらものちほど参照してみたい。

しかしながら、まずはブログの内容について言及したい。土屋議員はブログの中で「”美少女アニメを法規制しろなど自民党は勿論、私個人もまったく考えていない”」としながらも「”規制すべきは、集団で幼年の児童に性的暴行を加えるなどの過激な児童ポルノ漫画であって、堂々と書店で売られている現状だ”」と述べている。

まずは「児童ポルノ漫画」という単語であるが、これが何を指すのか今ひとつ不明瞭である。2014年中頃に俗にいう「児童ポルノ法」が改正されたが、この中では「漫画・アニメ・CG」などは規制の対象外とされている。そればかりか、「漫画・アニメ・CG」などは実在児童の保護を目的とする法律に含めるべきではないとして却下されている。

にも関わらず、土屋議員は何故「児童ポルノ漫画」という単語を用いたのか。単純に考えれば、要は「成人向け漫画」、特に「幼児を性的な対象とした作品」ということを言いたかったのだろうが、あまりにも定義や認識が曖昧で不明瞭だと批判せざるをえない。「児童ポルノ漫画」ではあたかも児童ポルノ法の定義にかかりそうな、実在児童に直接被害を与えている漫画作品という印象を与えかねない。

次に「”堂々と書店で売られている現状だ”」と述べているが、成人指定の作品であれば、未成年者は購入できないように区分されている。R-18マークをつけるなど自主規制もしっかりと行われている。であるにも関わらず、「”堂々と書店で売られている現状だ”」というのは腑に落ちない。もし仮にそうならば、それは売り場をゾーニング(区分)できていない「書店」側の問題ではないのか? しかし土屋議員は「いつ・どこ」の書店かは明かしていない。

現状でも性的なコンテンツは「規制」を受けている。主に「刑法175条 わいせつ罪」に代表される法律によって処罰されている前例もあり、土屋議員にとって「”堂々と書店で売られている現状だ”」とはいえ、性的なコンテンツは現在でもかなりの制限下にあるといっていい。局部にモザイクを付ける処理も「規制」のひとつだ。

暴力表現などについても「CEROレーティング(年齢別区分)」「倫理機関」などによって業界内ですでに管理されているのが現状である。それにより殆どの作品が自主的であれ「規制」の中にある。このような現状にあっても、尚、法律による強い規制が必要なのだろうか? そして「”堂々と売られている”」のが現状だろうか? 疑問に思う。


第186回国会 法務委員会 第21号 議事録

次にブログで紹介されていた議事録を参照してみたい。この議事録の内容は主に改正された「児童ポルノ法」についてのものであり、冒頭に土屋議員が質疑応答で登壇している。

この中で土屋議員は新聞記事と自身の記憶をソースに、過去の事件について残虐性を語り、「マンガ・アニメなどの規制も必要である」と訴えている。しかし実在の残虐な事件を取り上げながらも、終始それらと「マンガ・アニメ」の相関を示すデータなどは公開されず、印象論としか受け取れない語り口で質疑は進んでいく。

議事録全体を見渡して「マンガ・アニメ・CG」に関わる部分に着目すると、ほとんどの議員が土屋議員が取り上げた内容について触れている。だが、その意見の殆どは「実在児童の保護」「残虐な作品の危険性」については肯定的に取り上げながらながらも、児童ポルノ法における「創作物の法規制」については、否定的な立場を示している。

まずは、土屋議員が残虐事件とマンガ・アニメに相関があるように発表しているが、それについて明確に相関があると証明されず否定されている。「一部の事件のみを印象的に取り上げた論ではなく、まずは統計的な因果と相関を計るべきだ」と。そして、それが「非常に難しいことだ」とも語られている。

さらに「残虐・わいせつな創作物があることは認識しているが、児童ポルノ法は『実在児童の保護』を根幹としたものであり、実在児童が存在しない創作物は、この法律に含めるべきではない」とも言われている。ただし、それでも自主規制などの必要性は十分に求められている。

土屋議員は「残虐・猥褻な創作物について『表現の自由』を認めるべきではない」と語っているが、これも社会法益と個人法益の観点から否定されている。特に「わいせつ」については刑法175条ですでに罰則化されているものであり、新たに規制を設ける必要はないとされた。他にも「創作者への萎縮効果」が現時点でも実際に認められたとして、これ以上の規制には慎重にならなければいけないと釘も刺されている。


土屋議員の主張に正当性はあるのか?

これはTVでも議事録でも共通しているが土屋議員の意見に対して大半の者が、「実際に被害に遭う子供を助けるのであれば、これに反対する者はいない」と証言している。しかし、創作物(フィクション)の表現を規制することに関しては「別問題」とし、「慎重になるべき」「実在児童保護の問題と混在させるべきではない」という意見である。

さらに議事録でも土屋議員は「”気持ち悪くて読む気にもならないような劣悪な表現”」という発言をしているが、この「気持ち悪い」という感覚は土屋議員の「主観」でしかなく、全員に共通した感覚ではない。これもよく指摘されるが、こういった個人の主観をもとに「規制」を作ることは奨励されない。例えば私は食物に入れられる「香菜」が苦手で、香りが強すぎて食べ物に入っていると「気持ち悪くて食べる気にもならないような劣悪な食物」だと感じる。しかし、この私の感覚をもとに「香菜」を世界から駆逐するとしたら賛成されるだろうか? 世界の香菜好きから大反対されることだろう。

必要なのは香菜を「食べる/食べない」を選べる「自由」だろう。法律の信条の一つに「正義ではなく、自由を守る」というものがある。確固たる正義というものは実在しえない。正義の反対には、もう片方の正義がある。しかし、そのどちらを選ぶかの自由があれば人は生きていける。自分の好きな、自分の信念にあった生き方ができるのだ。それを選べる自由こそが尊いものだとされる。

マンガやアニメの持つ影響論については「メディア効果論」の歴史が参考になるだろう。まず言えるのはマンガやアニメを見ただけですぐに犯罪を犯すようなことはない。もし、そのような人物がいるとしたら、それはその人間の認知能力に問題があるのであって、マンガやアニメが問題でもない。また、そのように認知能力に問題のある人間であるならば、マンガやアニメに限らず、他のメディア情報からでも現実からでも影響を受けてしまうのだから、マンガやアニメだけを規制したところで意味はない。

だが、実際にマンガやアニメが「影響力」をもっていることは確かだろう。その意味でまったく害がないとは言い切れない。しかし、実際に創作物や記録物の中で犯罪に関することが書かれていたとして、それに憧れたり影響されたとして、「実際にそれをやろう」という判断をするまでに至るだろうか? 犯罪をすれば捕まってしまうし、ドラッグなどを使用すれば身体に影響が出る。そういったことを考えれば実行しない人間が大半だろう。

そして、それを実行してしまう人間は上述したように認知能力、あるいは精神に問題があるといわざるをえない。そしてそういった人間に対してマンガやアニメだけ、あるいは創作物だけを規制したところで大した意味はないし、何を規制したところで残酷なことは現実にいくらでも存在するのだから何処かでそれに触れてしまうし、人間は潜在的に残酷な部分ももっている。それを隠し続けることは不可能なのだ。(むしろ発散の場があった方が健康だといえる)

健常者が創作物の影響を受ける例として「スポーツ漫画を読んで、スポーツを始めた」というものがある。これを考えると「創作物に影響力はない」とはいえない。しかし「スポーツ」と「犯罪」の違いを述べるならば、社会がそれを推奨しているかという大きな違いがある。健全なスポーツを行うことを咎めるものはいない。しかし犯罪を犯すとなれば、社会はそれを阻止しようとする。もし、この社会という外部要素が犯罪を奨励するのであれば、悪い影響も表出するようになるだろう。

このように創作物の影響について認めるにしても、それ単体で残虐性が増したり、犯罪を犯すようになることは考えにくい。「本人の資質・影響・外部的要素」と、大まかな関連性をあげてもこれらすべてをクリアしない限り、創作物の影響が現実となって表出することはない。健常者がこれらの条件を満たす環境があるとしたら、それは「洗脳」に近い環境が必要になるはずである。社会が正常であり、健常者であれば、悪いとされる影響は現実と想像の区別がつくことで抑止されるはずだ。


表現規制に関するその他のこと

最後に土屋議員には直接関係しないが、今回のTVタックルの放送を受けて面白いツイートが散見されたのでまとめておく。ひとつひとつ考えさせられるところがある。













さらに参考資料として実際に創作物も表現規制の対象にした韓国の「アチョン法」についてもURLを記しておく。この機会に実際に創作物を法規制して犯罪が減るのか、創作者や社会への影響はどのようなものか知っておいてもらいたい。

アチョン法では創作物の他に、成人が未成年を演じたアダルトビデオのように「未成年に見える」というだけでも規制の対象となっている。さらに創作者2000人以上が逮捕されている。そして実際の強姦罪(服役3年)よりも、創作物規制による刑罰(服役7年)の方が重いという法律になっており、「実際の強姦をしたほうがマシ」という皮肉の声も上がっているという。
参照: おたぽる
参照: うぐいすリボン
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