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【NHKニュース おはよう日本】特集”子どもの性の商品化”について

2014年10月5日、NHK系列の「おはよう日本」の特集の中で「子どもの性の商品化」が取り上げられた。
ちなみに番組は上記リンクから有料登録することでアーカイブを見ることができる。(2014年10月現在)
こちらでWEB記事になったものを見ることもできる。
(以下、ほかに指定のない限り、画像や発言の引用は同番組内からのものである)

まず冒頭で児童など未成年を被写体としたDVDなどが一般向けに流通・販売されている実態を紹介し、それを日本の街頭で外国人に見せ、インタビューで日本と海外での児童ポルノへの意識の違いを語らせている。「子どもをモノ扱いしている ひどい(アメリカ人)」、「ドイツでこういうものが売られていたら、デモや反対運動が起きる(ドイツ人)」と、いずれも日本の児童ポルノへの認識の遅れを批判的に意見している。
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日本においていわゆる「児童ポルノ」と呼ばれるものに代表される「子どもの性の商品化」といったことへの社会的な意識は高くないといって差し支えないだろう。そもそも「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、児ポ法)」が制定されたのも、1999年と近代においてである。

それまで児童ポルノに類するものは、「わいせつ罪」と並列で処罰の対象とされていたため、性器へのモザイクといった処理を施せば、成人のポルノと同等に販売できていた実態がある。それが児ポ法が制定されて以降は、成人と同等の処理がなされている場合であっても格別に児童を対象としたものには罰則が与えられるようになった背景がある。ゆえに海外と比較した場合に、日本社会でこれら「子どもの性の商品化」がよくないものだという意識が働き始めて、まだ日が浅いという実態もある。

また、番組の後半部分ではECPAT/ストップ子ども買春の会の顧問弁護士でもある後藤啓二氏が、日本社会の児童への性的搾取の意識は未だに高いとはいえない状況にあることを指摘している。児童ポルノのようなものは需要と供給があり、その両方を減少させていかなければならない状況にあるとして、法規制によって「児童ポルノを供給する側」を取り締まると共に、それを「需要する社会意識」を変えていくことが児童の性的搾取・子どもの性の商品化といった事態を防止することになると主張する。
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このように、児童ポルノに類するものが一般に流通・販売している日本の実態と、それに異を唱える意識の違いは前述した欧米人のインタビューによって比較紹介されている。だが無論、海外においてそういった「子どもを性的な対象としない社会意識」があるにしても、実際に犯罪のすべてが未然に防止されているということはなく、子どもの性的な搾取が完全になくなるという事実もない。だが、減少させる第一手として、需要と供給の縮小が今の日本に求められている課題だといえるだろう。
(参照: 統計が否定する「日本は児童ポルノ大国」という妄説



犯罪の検挙数=犯罪発生率ではない

では、いまの日本社会において一体なにが子どもの性的搾取となっているのか、近代の立法の経緯と番組内で提示されたデータから遡ってみたい。
番組内では警察庁調べによる児ポ法の検挙数を紹介し、平成16年から平成25年までのデータで、年々増加の傾向にあると紹介されている。だが、このデータに示された日本における児ポ法の犯罪の検挙数については、以下の点に留意が必要である。
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まず日本で児ポ法が制定されたのは1999年(平成11年)であり、それが一度改正されたのが2004年(平成16年)、さらに二度目の改正を迎えたのが2014年(平成25年)となっている。つまり、平成11年までは実質「児ポ法」に関する犯罪は存在していないことになる。(それを取り締まる児ポ法自体が存在していないため、児童の性的搾取の実態があっても犯罪と定義することができない状態にあった)。

日本で児ポ法が有効に機能し始めたのは、平成16年からの法改正以後であるということが番組で紹介されたデータからも見て取れる。それまでは児童の性的搾取に関する犯罪も、成人を対象としたわいせつ罪などで同等に取り締まっていた背景があり、平成11年までは今の「児ポ法」に該当する犯罪の事実があったにしても、概念やデータそのものが存在していなかったことが指摘できる。ゆえに平成16年以前に「児童の性的搾取・子どもの性の商品化」の事実が存在していなかったわけではない。この事実からグラフにある検挙数の増加が、=(イコール)犯罪数の増加となっているのではなく、児ポ法の制定や改正によって新しく定義された犯罪への検挙数が年々増加しているという事実の表れといえる。

つまり犯罪の検挙数が「増えている」といっても、潜在的な犯罪が増加しているのではなく、むしろそれまで野放しだった犯罪(あるいは犯罪と定義されていなかった行為)が取締りで検挙されているために「増えている」ように感じるのであって、「(潜在的な)犯罪が増加傾向にある」という事実ではないということを指摘しておきたい。検挙件数が上がるということは、むしろ潜在的な犯罪は減少傾向にあると考えられる。実際に警察庁の犯罪白書では児童の強姦被害数などは年々減少の傾向にある。
(参考資料: 「“アニメ規制論”検証! 『TVタックル』をめぐり過熱した論争を振り返る」より、「TVアニメタイトル数」と「小学生以下の強姦被害数」の推移グラフ画像

表現規制に関する法律では韓国のアチョン法が創作物を対象とする法律の制定で大量の逮捕者を出したが、これは法の定義によって「新たな犯罪者(今まで犯罪者ではなかった者)」が大量に生じたために、数字の上では犯罪が「大量発生」あるいは「急激な増加」となるのであって、潜在的な犯罪の件数そのものとは直接的な関わりはない。新たな法規制による一時的な増加だと理解できる。ゆえに日本でも「検挙数が増えている=潜在的な犯罪件数が増えている」ということにはならない点に注意してもらいたい。

番組内では、まるで検挙数が増えていることが悪いことのように眉をひそめて紹介されているが、児童ポルノが成人のポルノと区別なく流通していた状態と比較すれば、児ポ法での検挙数の増加は児童性犯罪の減少に繋がっていくだろうことが考えられる。法律がこれ以上「新たな犯罪者」を作り出さない限り、「成人ポルノと児童ポルノは別物だ」という社会意識の変革と共に、児童性犯罪は減少に向かうと予測される。



公的なアイドル活動も「児童の性的搾取」なのか?

また番組では「福岡出身のアイドル」と紹介されていた「HR(エイチアール)」(細かいユニット名はボカシがかけられている。ただしHRのロゴやメンバーの容姿は視認できる)のユニット内に未成年や中学生がいることが紹介され、アイドルの低年齢化や握手会といった交流イベントを目的とした販売形式が紹介されている。
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しかし、これら公的なアイドル活動も「子どもの性の商品化」といえる行為なのか。あるいは公的なアイドル活動が直接的に性犯罪を助長する要素を含んでいるのか。そういった根拠は示されない。
(参照: ジャニーズや「WATER BOYS」は「児童ポルノ」なの?
(参照: NHKニュース「児童の性被害特集」でモヤモヤした点を検証する

次にそれら芸能界入りを利用して未成年者を誘惑する悪質なスカウトについて触れている。実際に当時未成年だった者が、街頭やインターネットを通じたスカウトによって撮影の現場に呼ばれ、水着や下着姿といった過激な演出を求められて嫌々ながらに撮影に応じた実態が紹介されている。
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だが、このような悪質なスカウトの実態を問うのであれば、「スカウトの悪質さ」そのものを問うべきであり、上述したような、その発端となる公的なアイドル活動を否定的に演出することや、それに憧れる児童をクローズアップするのは問題の根本から外れているのではないだろうか。

取材映像の中で、そういった児童の被害を減少させるために活動している団体や個人の活動の様子が流されるが、そこでも具体的に「どのように児童を被害から守るか」「どうしたら悪質なスカウトを遠ざけることができるのか」といった方法が番組内で紹介されることはなかった。個人で活動する金沢幸枝さんもアフターケアが主な活動であり、その防止という面では有力な方法は紹介されていなかった。
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被害に遭った人物などを何人も出演させ、再三にわたり被害の実態を訴えたのであれば、その防止策も番組内で紹介することが児童の被害を減らすことに有意義なのではないか。なぜ事件の悲惨さばかりをアピールし、アイドル活動を扇動的に取り扱ったのに、問題の発端となる悪質なスカウトへの解決策を充分に取り上げなかったのか。その構成に疑問が残る。

(参照: 小学生モデルを狙う危険な罠とは? こんなスカウトには要注意!
(参照: スカウト詐欺や悪質な芸能事務所の被害者にならないためのまとめ
(参照: 警察庁 - 性犯罪被害相談電話設置一覧表
(参照: 児童相談所 - 全国共通ダイヤル



特集まとめにある偏向報道と事実誤認

番組のまとめ部分で取材した伊達裕子記者は、子どもが持つ「人に認められたい」という承認欲求が、悪質なスカウトなどで巧妙に利用されているという点を指摘したのみに留まっている。しかし、これではまるで子どもがそういった感情を抱くことが原因であるように印象付けられ、やはりこれも根本的な問題の解決にはなっていないことが指摘できる。
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また伊達裕子記者は、和久田麻由子アナウンサーから2014年の児ポ法改正における議論について尋ねられ、以下のように発言している。


(発言引用ここから)

和久田
「あの、冒頭で外国の方が”この日本の状況が信じられない”と言っていましたよね。あの、この6月に法律が改正されるまで日本では一体どんな議論がされてきたんでしょうか」

伊達
「はい、児童ポルノの定義づけによっては表現の自由が侵害されるのではないか、あるいは単に所持しているだけで処罰の対象にしていいのかなど議論が続いてきました。で、今回の法律の改正については『日本雑誌協会』と『日本書籍出版協会』は声明を出し、児童保護という本来の目的から大きく逸脱し、表現規制に繋がる危険性があり、到底容認できないなどと訴えています。さらに『日本弁護士連合会』は、警察などの捜索権の乱用に繋がり、人権が侵害される恐れがあると会長声明を出しています」

池田達郎
「まあ、そういった懸念の声もある中で、実際に検挙件数が増えるなど、被害も増えているわけですよね。これ、防ぐために我々はどういうことが必要なんでしょうか」

伊達
「はい、子どもを性の対象にすることを許さない社会を作っていくことではないかと思います」(後略)

(発言引用ここまで)



まず、最初の伊達記者の回答内容であるが、反対を唱えた団体の趣旨が正しく説明されておらず、全くの偏向であることが指摘できる。「児童保護という本来の目的から大きく逸脱し、表現規制に繋がる危険性がある」と出版協会らが訴えたのは、実在児童の保護を対象としない”創作物”を「児ポ法の規制対象に盛り込むことを調査研究する内容」が含まれていたためであり、決して児童の性被害の減少を妨げる意図で行われた抗議ではない。以下、協会の抗議文を一部掲載する。


(引用ここから)

(前略)

●本来の目的は「実在する児童の人権保護」なのに、なぜ「漫画・アニメ」を加えるのか

私たち出版関係者は、日本の貴重な漫画文化が破壊される危険性が非常に高い「附則」にも異議がある。なぜなら、その「附則」には「検討条項」として、漫画・アニメという被害児童が実在しない世界にまで法規制をおよぼす条項が盛り込まれているからだ。これは創作者とともに漫画文化を支えてきた立場から見過ごせない問題である。

まず何より、この「検討条項」の発想は法本来の主旨とはかけ離れたもので、児童保護の名を借りて不要な表現規制をかけ、読者から漫画を読む権利を奪うものといえる。そうした過剰規制は表現の萎縮を招き、漫画という日本の誇る表現形態の破壊につながりかねない。

(後略)

「児童ポルノ禁止法」改正法案への反対声明』より 2013年5月29日 日本書籍出版協会

(引用ここまで)



つまり出版業界も実在児童の性被害の防止には大いに賛成しているのであり、反対しているのは実在児童に被害のない「創作物の規制(それにつながる調査研究を含んだ内容)」に対してなのだが、伊達記者の発言引用から判るとおり、伊達記者はその点については一切触れていない。弁護連の声明に関しても、弁護連は児童の性被害の防止を妨げる意図は全くなく、警察権力の乱用を危惧しているのだが、両方ともまるで各団体が児童保護に反対しているかのように語られている。
(参照: AFEE - 児童ポルノ禁止法に関する各種団体の声明

また、池田達郎ニュースリーダーの発言も、本稿で論じた点への誤解が見られる。「検挙数の増加=犯罪発生率の増加」ではないのだが、そのことについて全く疑問がないのか、臆面なく「被害が増えている」という発言が見られる。



事実か偏向か、報道の見極め

まずニュースやドキュメンタリーなど「事実」を伝えることが主題である番組では、コメディのように誇張した表現や、ドラマのような感情的な表現は少なくすることが鉄則とされている。それは、視聴者である人間の多くは情緒的であり、感情的なものには、つい同調してしまう性質があるためで、これは変えることのできない人間の性質のひとつである。報道はこれによって、事実を脚色したりすることが容易に可能となってしまう恐れがある。

視聴者には常にこの性質があるゆえに、出演者が狼狽して涙したり、怒りをあわらにすれば、視聴者はおのずとそれに同調して感情的に報道された内容を見てしまう。よってニュースキャスターなどは報道をするにあたり、必要以上に感情つけた抑揚のある読み方をしないように教育される。それが汚職であれ、死亡事故であれ淡々と事実だけが語られる。

テレビ―「やらせ」と「情報操作」テレビ―「やらせ」と「情報操作」
(2001/03)
渡辺 武達

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だが、上記の書籍内では、視聴率を得るためにそういった報道は牽引力が弱く、事実よりも感情に訴えたほうが効果的だということで、ニュースの娯楽化が進んでいると指摘されている。ニュースリーダーやキャスターの立場にある人間が、個人の見解を付け加えたり、顔を歪ませ、眉をひそませ、ときには怒りをあらわにしてニュースを報道する。事実伝達が目的ではなく、それらを「ショー(見世物)」として、視聴者を楽しませることが進んでいるというのである。

本稿で取り上げている「NHK - おはよう日本」の特集の中でも、アナウンサーやリーダーが眉をひそませ表情を作るところが散見される。こういった表情による演出が、あたかも悲惨な事実があるかのように見せているが、そういった点のいくつかが偏向や事実誤認であるのは、これまで本稿で述べてきたとおりである。しかし、視聴者はこれら感情的な「演出」によって、それを「何か悲惨なもの」と印象付けられてしまうのだ。

また、たとえ偏向や誤認された内容であっても、それが報道されてしまった時点で「視聴者にとっては事実」となってしまう点も上記の書籍内で指摘されている。つまり(本稿で指摘したように)伊達記者の発言には偏向があった(情報を正しく伝えていない)のだが、予備知識のない視聴者からすれば、伊達記者の偏向した発言内容が「事実」なのであって、それが世に伝播してしまうことの弊害は軽いものではない。

前項の平沢議員の「宮崎事件」に関する偏見と事実誤認も、TV報道によって偏向された情報が平沢議員らにとっては「報道で知った事実」として受け取られているのである。そして、それが何年も訂正されないまま固定化されてしまっている。現代はインターネットの普及などにより、情報の誤認や偏向や捏造に関して言及や指摘が素早く行われ、多くの人間に共有される環境がある。だが、しかし未だにTVやラジオや新聞だけが情報源の人間もおり、そういった人達へ本件のような誤った情報の伝達は、誤解や偏見を生むきっかけになることが懸念されて然るべきだろう。

近年、児ポ法に関わるこういった報道は、お決まりのように「残虐な事件の紹介→娯楽氾濫の報道→海外の反応→日本の法規制の遅れ」といった流れで報じられることがあまりに多い。報道の中に政治的な意図が見え隠れしているのは否定できないが、こういった報道のすべてが偏向や事実誤認を含んでいる点も看過できない。事実を歪めなければ報道できないような情報に価値はあるのか、正当性はあるのかと問いたい。また、それを放送してしまう局も、諸事情あるとはいえ、視聴者からの信用を落としていることは痛感してもらいたい。

(参照: 2014-03-16 NHKの捏造“児童ポルノ”報道
(参照: NHK 2012年8月20日 追跡!真相ファイル「“夢見る少女”が狙われる」 の問題
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